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ここもロクの小屋

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疲労困憊 

 帰ってきてご飯を食べて、あー疲れたってベッドにごろん。
 気がついたら21時前でした。

 そのまま寝ちまったようでございます。

 普段は昼寝しようと思ってもなかなか眠れない方なのに、寝ようと思うまもなく寝てしまった自分に自分でびっくり。

 自分で思っている以上に暑さにやられているのでしょうか。

 土日遊び倒したからってのもあるでしょうけどね。もう歳だしね。

 

 さて、お題7つめです。


「……それが今度の法案に対するヴィスコンティ議員のお考えというわけですね」
「ええそうです」
 うなずきながら、メノリは視界の端に秘書の姿をとらえた。そうして秘書がしきりに送ってくる目配せに顔をしかめる。
「何かあったのですか?」
 すかさず目の前の相手からそう尋ねられた。取材対象のささいな変化にすぐ気がつく、優秀な記者なのだろう。感心しながら、メノリはすぐに表情を改めた。そう簡単に見透かされるわけにはいかない。
 とはいえ、今は相手の察しの良さに助けられておくことにした。確かに「何か」はあったからだ。
「次の予定に向かわなければなりません」
 取材はここまでと断りをいれる。約束していた時間はもう過ぎていたし話の方も一段落していたので、途中で打ち切る形にはなるものの、メノリの方にあまり罪悪感はなかった。
「わかりました。これで失礼いたします。本日はお忙しいところありがとうございました」
 相手もすぐに了承してくれた。別れの挨拶を笑顔で交わす。まだ聞き足りないというのが相手の本音であることはわかっていたが、満足するまで話すとなれば時間がどれほどあっても足りないということも、双方ともにわかっていた。
 記者が帰るとメノリの表情が途端に鋭くなる。
 近づいてきた秘書は体を小さくしてすみませんと頭をさげた。
「取材中だということはお伝えしたのですが……」
 メノリは厳しい顔のまま髪をゆらして首を振った。
「それで帰る相手なら苦労はない」
 続いてどこにいるのかと強い口調で問いただし、告げられた場所へメノリは向かった。

 

 残された秘書は大きく息をついた。
 メノリが自分に対して怒っているわけではないということはわかっているのだが、それでも彼女のもつ威厳にはいつも打たれっぱなしだ。それなりに長いつきあいになっているのにいつまでも慣れない。
 特に、こうした場面でのメノリの迫力はすごかった。多分、彼女自身がことさらに厳しく自分を律しようとしているからなのだろう。彼女がそうする理由はなんとなくわかるし、その理由を思えばむしろメノリのことを可愛らしくも思うというのに、それでもいつも目の前の彼女の姿に気圧されてしまうのだから、つくづく自分は凡人だなと秘書は肩をすくめた。
 そしてこうも思う。毎回体が縮み上がるような気分を味わうというのに、自分は次のときにもまた、同じ事をするのだろうと。

 

「メノリは働き過ぎなんだよ。いいからもうその辺にしてぼくに会いに来いって伝えてきてくれよ」

 

 尊大にして横柄なのにもかかわらずどこか憎めない金髪の客人が、アポなしで押しかけてきたことを、尊敬する上司に告げに走るのを、ためらいはしないのだろうと。

 

007 合図

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