ここもロクの小屋
雪組公演 「ドン・カルロス/Shining Rhythm!」
まっつがいいよっていう感想につられて、お金がないのに無理矢理スケジュールにねじこんで行ってきました。1階A席センターブロックで。なんか回りがご夫婦とか、恋人とかで来られている人ばかりで、いつもより男の人が多いような気がしたんですけど、なんかやってたのかな。
ドン・カルロスは、オペラを原案に宝塚版として大幅に改変されたお芝居。
オペラの設定そのままに筋書きを大幅に変えちゃったので、つっこみどころは満載。結末への展開は「そんなんでええのん?」って思ってしまうくらい。そんな大騒ぎしておいてこれで解決すんの!?って。
でも、終わりが清々しいので、つっこむけど、不満とか怒りとかはほとんど沸いてこないですよ。そんなんでええんやって笑って終われる。よかったねーって。
主役の二人がすごくかわいくて、きらきらしているので、よかったねーって拍手で終われます。
セットも面白いし、映像で青空と入道雲が映るところがあるんですけど、あれはきれいでよかった。音楽も美しくて、主役二人が名前を呼び合うデュエットが好きです。
難点はオペラの設定を削りきらなかったので色々無駄に思えたところかなあ。筋書き変えるんだから、人物関係図だけ使って他のエピソードもほぼ全部捨てたらよかったのに。特に「子供の父親は」のくだりはいらんのじゃないかね。2番手さんのキャラが薄いから、場面作りたかったのかも知れないけど、それならネーデルランドの場面をねつ造でもいいからねじこんだほうがよかったと思うけどなあ。あのエピソードで、ポーザ侯爵の何を語りたかったんだか。
お目当ての未涼亜希さんは、主人公の父役。「全てお父さんの早とちりのせいじゃん」って責められても仕方のない役所。ですが、孤独な王者の不安も悲哀も威厳もよく表現されていて、目が釘付けでした。ソロもあって大満足。やっぱり好きだわ~。
Shining Rhythm!は、非常に宝塚らしいショーでした。宝塚のショーってこんなんだよって初めての人に説明するのにいい感じ。たくさんの人が歌って踊って、場面が色々変わって、楽しかった!
初めて参加される振り付け家の方がいたそうで、その場面は確かに新鮮でした。
そして、宝塚って懐広いよなって改めて思ったり。宝塚っぽくないはずのものでも、宝塚っぽくなっちゃうんだよね。この前の月組ショーでは「魂のルフラン」でロケットダンスやってたしな~。
不満なのは、色彩が単調な場面が多かったところ。プロローグはオレンジで、中詰めが黄色。差し色を効果的に使っていただけると、見ている方もほっとするんですけどー。
あと、歌はソロで長くより、かけあいとかあったほうが好み。ってか、ぶっちゃけ音月さんとまっつの歌での対決が見たかったよってことなんですけどもね。光と影の場面は、音月さんの歌っている間中、いつまっつが割ってはいるのかずっと待っていました。まあ、なかったんだけど……。
あと、光の音月さんのカツラはそれで正解なのかずっと気になっていました。
これにお金を使ってしまったので、今月髪を切りに行こうと思っていたのに予算がなくなりました。でも後悔はしていない! 楽しかったからいいや~。
紅5
くれないふぁいぶ。と読みます。
宝塚星組若手男役5名のユニット。しかも、自主的な(つまり自分たちで勝手に作った)。
地道な活動が実って、コンサートまで開催した奇跡のグループ。
そのコンサートの映像を宝塚スカイステージで見たんですけど、紅5のオリジナルソングがすごく気に入って、そこのところばかりリピートしてしまいます。
ジャ○ーズみたいなポップなアイドルソングで、ありがちといえばよくある雰囲気の曲なんですけど、わかりやすいのが好きなんで、しっかりはまりました。
それに、働く女子としてしみじみ尊敬できるなあと、彼女達がきゃいきゃいしている姿に胸が熱くなったりもしているのです。
こんなふうになりたいって思って、それをちゃんと形にしたんですからすごいですよ。好きなことを仕事にしているからだと言えばそうかもしれないけど、好きなことだからこそ厳しいこともあるじゃないですか。
映像では本当に若い女子らしくじゃれて可愛いところしか見えないけれど、いや実際楽しんできたんだろうけど、でもねえ、そうやってお仕事をきちんと手を抜かずに楽しめるっていうのは、本当にいいなあ素敵だなあって思うのです。
私が宝塚にはまったのって、ひょっとしたら、働く女性の輝く姿が見られるからっていう理由もあったのかなあなんてことを思いつつ、今月も宝塚を見にいくのでありました。
宙組 クラシコ・イタリアーノ/NICE GUY!!
28日に見てきました。平日なので空いているのかなと思っていたけれど、一階はぎっしりでした。評判いいし、リピートしている方も多いのかも。これは期待できそうと思ってワクワクしながら見ました。
お芝居もショーもサヨナラ公演のような雰囲気満載でした。これでもか!とばかりに大空祐飛のかっこよさを見せつけるという作り。これで最後じゃなくて良かった。中日も行くよ。もー祐飛さんかっこよすぎ!
ただ、この公演をもう一回見たいとは思わなかった。ショーはともかく、芝居は一回で充分だわ、私には。
お芝居は、オーダーメイドが当然だった時代に、既製品のスーツで躍進し、ナポリからアメリカ進出を果たそうという実業家のお話。彼が何を誇りに思い、何を大事にして生きていこうとするのかという、葛藤も含めてその生き様を描き出そうという作品でした。
とにかく祐飛さん演じるサルバトーレがかっこいい。クールな実業家であり、熱い魂をもった職人でもあり、その彼が仕事相手や仲間に見せる色々な姿のどこを切り取っても、絵になるし、ときめく。特にラストの白い彼はサイコーでした。それまでは、ずっと厳しい雰囲気だったのが、解き放たれて自然体に戻った姿が本当に魅力的で、ツイッターで見た感想「幕が下りるまでの15秒が見せ場」って言っていた人の気持ちがよくわかりました。そりゃ背中に抱きつきたくもなるよ、わかるよ、ヒロインのミーナちゃんの気持ちが。
ただ、それだけといえばそれだけなんですよねー、この話。
見ている観客側の気持ちが、ストーリーの流れに乗れない気がします。サルバトーレのキャラは立ってるけど、お話としての軸がない感じ。何を大事に見たらいいのかなあ。お話の盛り上がりがどこにあるのかわからないので、正直退屈します。いや、もちろんここがクライマックスなんだなっていうところはわかりますけど、 全体として受ける印象がなーんか散漫なんですよね。アルジェの男のように「成り上がってやる!」というような、サルバトーレの心の中心にあるものが何なのか見えづらいから、共感しづらい。今起こっていることが、サルバトーレにとってどんな意味があるのかわからないので、危機が危機として感じられない。だから、見ていても盛り上がらない。(というより、私が個人的に「本当の自分」って言葉が嫌いなので、余計に見ていて冷めちゃっただけなのかもしれません)
でもしょうがないかとは思いますけど。完全にサヨナラ公演作りだもん。大空祐飛の魅力を伝えられればそれで成功なんだから、今回のお芝居は何も間違っていないのだと思います。
間違っているとすれば、ヒロインの扱いですかね。完全に添え物でしかないミーナちゃん。彼女がいなくても話は進むしな~。
それと、場面転換が単調だったことも退屈した原因の一つかな。とりあえず銀橋に人出して、暗転している間にセット替えという繰り返しだったような。セットも平面的で、奥行きがあまり感じられなかったし。
「案外地味やったな」ってのが、一緒に行った妹(非ヅカファン)の感想でした。
ショーは充分楽しかったです。大空祐飛ここにあり!のサヨナラ公演作りっていう点は芝居と同じですが、退屈は全然しなかった。
あの変な柄のスーツを着こなせるなんて祐飛さんすごいなあ(褒めてます)。
「俺だけを見ろー!」で「きゃー!!!」って言えなかったことが唯一の不満かも(ここは宝塚です)。ライブだったら、絶対叫んでるな、あれ。
あ、それと、ナーイスガイナーイスガイナーイスガイYYYの主題歌は、もっと聞きたかった。もっともっと多用してくれてもよかったのに。って、そうか、聞きたいならもう一回来いってことか。ファンホイホイの主題歌作りはお手の物ですね、藤井先生(演出家)。
祐飛さん以外では、みっちゃんがさすがの安定感。イケメンオークションもそうだし、彼女が出てきてくれると、場面がしっかりする気がします。
次の中日劇場でのアパショナードも楽しみです!
雪組「仮面の男/ROYAL STRAIGHT FLUSH!!」
台風の中行ってきました。
宝塚を見たことがないという人には正直なところ勧められない作品でした。斬新すぎる。私はとりあえず開いた口がふさがりませんでした。
ああでも、宝塚に先入観が無い人の方がかえって楽しめるんだろうか。
Twitterの感想で「パタリロみたい」というのを見たのですが、確かにそんな感じかも。
「ここでこれ!?」という衝撃の連続です。でもパタリロはそれがパタリロだからいいのであって、ここは宝塚だよ?? まあでもたしかに宝塚だからって宝塚の型にはまってばかりはいられないんだろうけど、でもあれはどうなんだ。統一感がなさすぎて、斬新とかシュールとかっていうレベルじゃないと。
雪組さんは歌もうまくてお芝居もできるスターさんがたくさんいるので、シリアスシーンはちゃんとミュージカルです。それに、芝居・ショーともに、役が多くて、いろいろやっているので、見所はあります。
だから、贔屓がいる人ならリピートできるんじゃないでしょうか。
ネタバレ含む分はたたみます。