ここもロクの小屋
宙組 クラシコ・イタリアーノ/NICE GUY!!
28日に見てきました。平日なので空いているのかなと思っていたけれど、一階はぎっしりでした。評判いいし、リピートしている方も多いのかも。これは期待できそうと思ってワクワクしながら見ました。
お芝居もショーもサヨナラ公演のような雰囲気満載でした。これでもか!とばかりに大空祐飛のかっこよさを見せつけるという作り。これで最後じゃなくて良かった。中日も行くよ。もー祐飛さんかっこよすぎ!
ただ、この公演をもう一回見たいとは思わなかった。ショーはともかく、芝居は一回で充分だわ、私には。
お芝居は、オーダーメイドが当然だった時代に、既製品のスーツで躍進し、ナポリからアメリカ進出を果たそうという実業家のお話。彼が何を誇りに思い、何を大事にして生きていこうとするのかという、葛藤も含めてその生き様を描き出そうという作品でした。
とにかく祐飛さん演じるサルバトーレがかっこいい。クールな実業家であり、熱い魂をもった職人でもあり、その彼が仕事相手や仲間に見せる色々な姿のどこを切り取っても、絵になるし、ときめく。特にラストの白い彼はサイコーでした。それまでは、ずっと厳しい雰囲気だったのが、解き放たれて自然体に戻った姿が本当に魅力的で、ツイッターで見た感想「幕が下りるまでの15秒が見せ場」って言っていた人の気持ちがよくわかりました。そりゃ背中に抱きつきたくもなるよ、わかるよ、ヒロインのミーナちゃんの気持ちが。
ただ、それだけといえばそれだけなんですよねー、この話。
見ている観客側の気持ちが、ストーリーの流れに乗れない気がします。サルバトーレのキャラは立ってるけど、お話としての軸がない感じ。何を大事に見たらいいのかなあ。お話の盛り上がりがどこにあるのかわからないので、正直退屈します。いや、もちろんここがクライマックスなんだなっていうところはわかりますけど、 全体として受ける印象がなーんか散漫なんですよね。アルジェの男のように「成り上がってやる!」というような、サルバトーレの心の中心にあるものが何なのか見えづらいから、共感しづらい。今起こっていることが、サルバトーレにとってどんな意味があるのかわからないので、危機が危機として感じられない。だから、見ていても盛り上がらない。(というより、私が個人的に「本当の自分」って言葉が嫌いなので、余計に見ていて冷めちゃっただけなのかもしれません)
でもしょうがないかとは思いますけど。完全にサヨナラ公演作りだもん。大空祐飛の魅力を伝えられればそれで成功なんだから、今回のお芝居は何も間違っていないのだと思います。
間違っているとすれば、ヒロインの扱いですかね。完全に添え物でしかないミーナちゃん。彼女がいなくても話は進むしな~。
それと、場面転換が単調だったことも退屈した原因の一つかな。とりあえず銀橋に人出して、暗転している間にセット替えという繰り返しだったような。セットも平面的で、奥行きがあまり感じられなかったし。
「案外地味やったな」ってのが、一緒に行った妹(非ヅカファン)の感想でした。
ショーは充分楽しかったです。大空祐飛ここにあり!のサヨナラ公演作りっていう点は芝居と同じですが、退屈は全然しなかった。
あの変な柄のスーツを着こなせるなんて祐飛さんすごいなあ(褒めてます)。
「俺だけを見ろー!」で「きゃー!!!」って言えなかったことが唯一の不満かも(ここは宝塚です)。ライブだったら、絶対叫んでるな、あれ。
あ、それと、ナーイスガイナーイスガイナーイスガイYYYの主題歌は、もっと聞きたかった。もっともっと多用してくれてもよかったのに。って、そうか、聞きたいならもう一回来いってことか。ファンホイホイの主題歌作りはお手の物ですね、藤井先生(演出家)。
祐飛さん以外では、みっちゃんがさすがの安定感。イケメンオークションもそうだし、彼女が出てきてくれると、場面がしっかりする気がします。
次の中日劇場でのアパショナードも楽しみです!