ここもロクの小屋
73個目
昨日今日と、必要があって電車移動でした。
…………寒かったです…………。
今朝なんて雪がちらついてたし。
風邪ひかないように厚着していったつもりだったけど、足りませんでした。本気で真冬の格好をしていくべきでした。
今日はゆたんぽ必要かしら。
チャコはルナのことなら何でも知っている。
ルナが小さい頃からずっと一緒だし、それにルナは何でも話す子だった。その日何があったか、何が嬉しくて何が悲しかったか。隠さず全部教えてくれた。両親が亡くなってからは聞き手がチャコだけになってしまったので、尚のこと、チャコに知らないことなどなかった。
けれど最近ルナの様子がちょっとおかしい。
遅刻寸前で飛び出すことがなくなって、やたら張り切って登校する。
電話がかかってくると家のどこにいてもすっとんできて、そしてその電話に出る前にチャコを追い払う。
休日にはやけにそわそわして出かけて行って、帰ってくると妙にふわふわしている。
そうして、いつも明らかに何か言いたそうにしているのに、結局何も話さないのだ。何か嬉しいことがあったのだなと、誰が見てもわかるのに、一言も口にしようとはしない。
あのおしゃべりなルナが、何も教えてくれなくなってしまった。
けれど、チャコにはわかっている。最近ルナに何があったのか、どうして急にルナが秘密主義になってしまったのか。
わかっているので、チャコは何食わぬ顔でその変化を受け入れていた。詮索も、からかいもせず、そっとしてあげている。それもこれもルナが成長しているということなのだから、黙って見守るのが保護者の役目というものなのだ。たまに顔がにやにやしてしまうのを抑えられなくなるが、それも愛情ゆえのこと。それくらいは許して欲しい。
今日もルナがうきうき登校するのを、チャコはにこにこ見送った。
ま、あとしばらくのことやろ。
そうチャコは予想している。
あと少しおとなしくしていれば、きっとルナの方が我慢できなくなって、また以前のように何もかも打ち明けてくれるに違いない。
だからそれまでは。
言わぬが花ってもんや。
そしてチャコは上品にジュースのコップを空にした。
073 秘密
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私はカオルとルナがくっつくのは卒業後だと思っているので、多分このときのルナの相手はカオルじゃない(!?)