ここもロクの小屋
72個目
ちょっとショックなことがあって落ち込んでいます。
自分が余計なことをしなければ、その理由にぶちあたることもなかったのに。
そんな自分のいらんことしいであほなところがまた腹立たしいやら情けないやらでさらに落ち込んでどうしようもない感じであります。
落ち込んだまま用事があって出かけたのですが、3回道を間違えました。すごくよく知っている何度も通った道をです。
ほんまあほすぎる……。
こんなときは精神をよそへ飛ばすのが一番ですので、小話はいつもどおりに書いてみました。
コロニーの天候は完全に管理されているので、今日雨が降るということをシャアラは当然知っていた。知っていて、今日来て欲しいと言ったのだ。
「降り出したね」
普段は別のコロニーで生活している彼は、今日の雨を知らなかった。自分がシャアラの部屋に入ったのとほぼ同時に降り出した雨を見て、少し驚いたようだった。
「結構本格的な雨だ」
「しばらくぶりだから、たくさん降らすみたい」
運んできたトレイを部屋のテーブルに下ろして、お茶の用意をしながら、シャアラは彼にも座るように促した。
座りながら、まだ窓の外に目をやっている彼がどこか申し訳なさそうな顔をしている。きっと、久しぶりに会ったのにこれではどこへもシャアラを連れて行けないと思っているのだろう。
彼にそんな顔をさせていることが申し訳なくなって、シャアラは早々に打ち明けた。
「今日、雨が降るってわかってて呼んだの」
だから大丈夫だと微笑んでみせたつもりだったけど、うまく笑えなかったかもしれない。申し訳ないと思っている気持ちが出てしまって、困ったような顔になってしまったのかもしれない。彼もまた、申し訳なさそうな顔のままだったからだ。
だからシャアラはあわてて言葉を付け足した。
「ほんとよ。雨の日がいいと思ったの」
「どうして?」
シャアラの淹れたお茶を受け取って、彼は首をかしげた。
「雨の日にこうして二人でいると、なんだかすごく近くにいるような気持ちになれそうな気がしたから」
彼はまた首をかしげた。シャアラの言っていることがわからなかったらしい。でも彼はその後で口元をほころばせた。
「素敵な考えだね」
「ベルならそう言ってくれると思ったわ」
シャアラもまた顔中で笑って、そっと彼の肩に寄り添った。
072 雨
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遠距離恋愛だからこそ