ここもロクの小屋
75個目
日経新聞に痛恨のネタバレをかまされた……。
単なる観光案内だったんですけどね、ふつーの紹介記事なんですけどね、でもよりによって日経に載せなくてもええやんorz
というわけで、智積院に行くことにしました。
いつかはまだ決めていませんが、桜の時期がいいんでしょうかね。
小話は桜関係ありません。
多分10日頃。
そう聞いていたのに、今日はもう……。
指折り数えてシャアラはため息をついた。
ベルからメールが来ない。
新着メールなしの表示をいくらにらんでも無いものは無い。
未練がましくもう一度メールチェックをかけて、やっぱり現れた同じ表示にシャアラはいらいらと机を叩いた。
今回のベルの任地は少しばかり厄介だった。ほぼ手つかずの未開発惑星。大丈夫なのかと不安がるシャアラに、ベルは大丈夫だと笑った。大気の主成分や気温などはテラフォーミングなしでも問題ないくらいの惑星だから、開拓はとても楽に進むはずだと。
危険は少ないに越したことはなく、シャアラもそれで一部安心はしたのだけれど、問題はそういうことだけじゃない。
自然環境に手を加える必要が少ないからといって、それで人が楽に生活できるわけじゃない。開拓が必要というのは、インフラの整備が進んでいないということだ。ベル達はそれを整えに行くのだから、ある意味いつものことなのだが、ほぼ手つかずというのはこれが初めてで、シャアラにとっては本当に厄介だった。
なぜなら、連絡を取る手段が一時的とはいえ無くなってしまうからだ。
開発元と先とで連絡をとることはもちろん出来るが、開拓員が個人的な連絡をとることはできない。会社がいじわるをしているわけではなく、それができるだけの設備がないのだ。ベル達が自力でそれを整えるまで、家族といえど直接連絡をとりあうことはできない。会社経由ならできないこともないが、家族ならともかく、まだそう名乗れる立場ではないシャアラに使える手段ではない。
かくして、シャアラはじりじりとメールの到着を待つことになったのだった。
出発前に目安として10日頃と聞いていたのに、それを過ぎてもまだ来ない。何も悪いニュースは聞かないので、開拓に問題が発生したわけじゃないと思う。心配しなくてもいいのだろうと思う。予定通りに作業が進まないことの方が多いとも聞いている。それでも、どうしたって心配になってしまう。
――違う。
心配とかじゃなくて、ただ会いたい。直接じゃなくても、顔が見たい。声が聞きたい。
こんなにずっと離れていたことなんて……ある、けど、でも、寂しい。
こてんとシャアラは机の上に頭を落とした。
「ベル……」
ポーン!
たまらなくなってその名を呼んだのと、新着メールを告げる音が鳴り響いたのは同時だった。
思いっきり顔を上げて、上げすぎたシャアラは首の痛みに顔をしかめた。
けれどしかめ面のまま届いたメールを開く。
「………………」
違った。
映し出されたのは確かに顔見知りではあったけれど、思い浮かべた人ではなく、シャアラは再び机に突っ伏した。
あと何日かかるのかなあ。
深く深くため息をついて目を閉じる。
お仕事がんばってね。
遠く離れた愛しい人に、シャアラは心の中でメールを書いた。
075 指
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お題が指なので、指折り数えるところまで。
指ってお題なので、色っぽいのとかも考えたんですけど、うちには誰も色っぽいのがこなせる子がいませんでした。