ここもロクの小屋
60個目
9日の分ということで。
短いですけど、もう一個。短いのはいつものことか。
ある種の礼装に帽子は必須となっている。
メノリも当然、それなりに持っているのだが、最近はよく使うものと全く使わないものとにはっきり別れてしまっている。使わないものは本当に使わなくなっているので、人に譲るなりなんなり、処分の方法を考えなくてはならないと思っているくらいだ。
それもこれも、メノリのエスコート役を務める相手がうるさいからだ。
「せっかく綺麗な髪なのに、隠すなんてもったいないだろ」
そう言って、メノリがせっかく選び丁寧にセットしたものでも、気に入らなければこれはダメだとむしりとったりするので、畢竟、使えるものが限られてしまうのだ。
むしりとられた時はもちろん、盛大に叱り飛ばすのだが、最後にはいつも相手の言うとおりになってしまう。
自分はこんなに甘い人間だったろうかとため息をつきながら、今日もメノリは彼の眼鏡にかなう帽子を手にとるのだった。
060 帽子
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帽子、帽子。今日のためふさわしい。
彼の目くぎづけにするような。
乙女の頭にとても似合う。殿方の興味を惹くような。(っていう歌があってね。大好きなんですかわいくて)
帽子って言っても、礼装用っていうと、かぶるというより載せるという感じの小さいものになるので、そんなに髪がかくれたりはしないと思いますけどね。
ただ、彼は非常にわがままなんですよ。そして多分、センスも悪くないと思います。