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ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
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美形好き 

 きれいなものが好きなので、美人も大好物です。
 今日はいっぱい美形を見てきたので、かなり元気になりました。
 明日もお仕事がんばろう。土曜日も出勤ですけど、バリバリ働きますよ!

 

 更新はのんびりですみません。28個目できました。


 ルナを見つけて7人と一匹に戻ったオリオン号は改めて大陸を目指していた。
 カオルは進路を確かめ、慎重に操縦桿を握っている。
 ルナは少し衰弱していたものの、怪我もなく、少し休めば元気になるだろうということだった。
 ルナの容態についての情報が伝聞形なのは、カオルはルナの顔を見に行っていないからだ。この情報は、さっき進路を確認するために操縦席へ来たチャコが話していったものだ。
 小さな島の浜辺で手を振っているルナを皆が迎えに走るのを、カオルは操縦席から窓越しに見ていた。仲間に支えられたルナの足取りから、彼女が弱っていることも、しかしそれほど深刻な状態ではないということも、カオルにはわかった。
 それでカオルは操縦席を離れなかった。
 ルナには会いに行かなかった。
 ルナの顔が見たいと思った。無事をちゃんと確かめたいと思った。
 でも会いたくなかった。
 合わせる顔がなかった。
 ルナがあんな目に遭ったのは自分のせいだとカオルは思っていた。
 風が強くなってきていたのはわかっていたのに、嵐のど真ん中に船を進み入れてしまった。
 それでも、遭遇した嵐の中でもっと上手く操船していたら。あんなに船を揺らすことがなかったら。そうしたらルナが海に投げ出されるようなことにはならなかったのに。
 そう思うと、カオルは操縦桿を離すことができなかった。
 海は今凪いでいて、波も操縦席からではほとんどわからないくらい穏やかだ。行く手の空も晴れ渡り、何の不安もなかった。
 でもカオルはここから動くことができなかった。
 ルナに会いには行けなかった。
 背後でドアの開く気配がした。
 食事も交代も、その時間にはまだ早い。誰が何の用で来たのかと、確かめるために流したカオルの視線の先でオレンジ色の髪が揺れた。
 カオルの目が大きくなる。
「やっぱりここからだと海が少し遠く見えるね」
 見張り台の方が高いのにねと屈託無く笑いながら隣のシートに腰を下ろしたのは、カオルの心を占めていた当の相手、ルナだった。
「寝ていなくていいのか」
 どうして?とか、何をしに?とか、他の仲間は何をしているんだ?とか、カオルの頭の中は疑問でいっぱいだったが、最初に口から出たのはそんな言葉だった。合わせる顔がないと思っていたことも忘れて、その顔色をはかる。やはりあまり良くないように見えた。
「寝てたわよ。さっきまで」
 反面ルナの口調は明るいものだった。
「でも、寝てばっかりいるのもね~。別に睡眠が足りてなかったわけじゃないし。一応ちゃんと寝てたのよ。一人でいたとき。いっぱい、いろんな夢見ちゃった」
 ――それは睡眠が足りているとは言えないのではないか。それに、体力は落ちているのだから、戻るまでもう少し横になっていたほうがいい。
 カオルはそう思い、そう口にしようとした。しかし軽快なルナの話の流れに割り込むことが出来ない。カオルが何かを言う前にルナの言葉が続いてしまう。
「だからカオルを探しに来たの」
「オレを?」
 カオルはようやくそれだけ言った。なぜ?という問いは視線がそれを補った。
「だって、カオルだけいなかったから」
 カオルは思わず顔をそらした。操縦に集中するかのように、視線を前方へと戻す。だからルナの顔を見ないカオルに、ルナがカオルのそんなそぶりを気にしたのかどうかはわからない。ただ、彼女の口調に変化はなかった。ルナはいつもの明るい声で続ける。
「帰ってきて、まだカオルの顔を見ていなかったから、見に来たの」
 ふ、とルナが笑う気配がした。カオルの表情はひきしまる。
 緊張、しているのかもしれない。ルナに何を言われるのかと、何を言われてもいいように、自分は身構えているのかもしれない。
 ずいぶんと臆病なことだ。
 思考ほどには動かない顔の下で、カオルはルナの言葉を待った。
 ルナが何を思って笑ったのか、それはやはり前を向くカオルにはわからない。ただ、ルナの次の言葉は、いつものように明るくそしていつもよりやわらかく発せられた。
「ありがとう、カオル」
 思いがけない言葉に、操縦桿を握るカオルの手に力が入る。
「ライフジャケット、持ってきてくれたでしょ? あれをつけていなかったら私、溺れていたかもしれない。島に流れ着くことができなかったかもしれない。助からなかったかもしれない」
 ルナはゆっくりと言った。
「だから、こうして帰ってこられたのはカオルのおかげよ。ありがとう」
 カオルは前方だけを見続けることができなくなった。
 隣へ顔を向けると、ルナは微笑んでいた。
「……オレは何もしていない」
「カオルはいつもそう言うのね」
 ルナは肩をすくめて、おどけた様子で笑った。
 カオルは今度はルナを見ていたので、わかった。ルナの笑顔がいつもと違う。さっき確認したように顔色も良くない。やはり疲れているのだろうか。それとも何か気にかかることがあるのだろうか。
 けれど、カオルはその理由を尋ねることはできなかった。
 ルナを心配してシャアラとチャコが探しに来たからだ。二人に連れられて、ルナは部屋に戻った。もうしばらくちゃんと休めば、きっと元気になるだろう。

 少なくとも体力は、戻るのだろう。

 

028 海

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 そうしてこの後あの夜の見張り台のシーン「気づいてないとでも思っているのか」に続くわけですね。

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