ここもロクの小屋
ストレス性胃炎
昔からちょっと緊張するような場面にでくわしただけで胃が痛くなる小心者です。
昨晩もちょっと辛い状況だったので、もう胃が痛くて痛くて、今朝もご飯が食べられないくらいでした。そのままごろごろし続けて、ようやく起きられる状態に。
わりかし図太くてずうずうしいくせに、気が小さいというこの性格をどうにかしたいものです。
そんなわけで、私はハワードを心から尊敬しております。
お題2つめです。
002 予感
その日ハワードは空を眺めて言った。
「今日はこれから雨がふるぜ。絶対だ」
果たしてその日は雨になった。
「すごいわ、ハワード。どうしてわかったの?」
「偶然だよね」
「野生の勘っちゅうやつか? 本能だけで生きとるような奴やからな」
仲間の反応は様々だった。しかしハワードはいつものように得意がるでもなく、むきになるのでもなく、ただにやにやしていた。
「明日の天気はわかるの?」
「あーそうだな。明日は晴れだな」
そのまま次の日の天気も予想してみせたが、「雨だ」と言ったときほどの熱心さがなく、なげやりにも聞こえるものだった。
それでも、翌日もハワードの言葉通り晴れとなった。
「本当にわかるの?」
「偶然に決まってるよ」
「……そうだろうな」
「ねえ、明日は?」
「明日?? ああ、晴れだ晴れ」
投げ出すような答えだったがハワードの熱意と予測の精度は関係がないようで、次の日もまた言葉通り晴れた。これはひょっとするとひょっとするのかと、仲間達の問いかけにも熱が入った。
「明日は?」
「明日は雨! きっと降るぞ」
力強い断言でなされたそれは、しかし、はずれで、その日はきれいに晴れた。
その次の日の晴れ予報は当たり、そのまた次の日の晴れ予報は当たり、そのまた次の晴れ予報ははずれた。
的中率としては悪くないが、そもそも島は晴れている日の方が多く、晴れと言っていればたいてい当たることになる。やっぱりでたらめなんだなと、仲間達の熱も冷めてもう誰もあえて尋ねようとはしなくなった頃、仲間の一人がそれに気づいた。
「ハワードは自分が畑仕事とか水くみとか、嫌な仕事に当たる日は雨が降るって言ってるんだ」
予報どころか予測ですらないよ、とあきれ顔でなされた指摘に、仲間達はとりあうだけ無駄だったと肩を落としたり苦笑をこぼしたりしながら納得した。
「まあ、そんなことやろうとは思っとったわ」
ハワードだし。それが仲間達の共通の感想だった。
「明日は雨だからな!」
それでもハワードは予報ならぬ希望をたびたび口にしたという。