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ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
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51個目 

2月が終わってしまった。
乙女度強化月間、今年もできなかったぁぁぁぁ。

 

(でも、ほら、3月ってひな祭りあるじゃん?
(ひな祭りって女の子の節句じゃん?
(それなら、3月に開催してもいいんじゃね?

 

そんなわけで昨日から乙女度強化月間なのです。
ひたすら女の子を愛でる話を書きますよ。ええ、私はいつも口だけですけどね(堂々)。
狼少年も真っ青な私ですが、いつも意欲だけは満載です。
女の子が可愛くて幸せなお話を量産したいと思います。ほんといつも思うのは本気なんですけど。

 

とりあえず今日は書きました。


 

「いいよ」
 あかりはいつだってそう言う。
 ヒカルがデートの約束に遅れても、呆れはしても怒りはしない。ひどいときにはヒカルが約束をすっかり忘れ去って家で寝ていたりもするのだが、それでも、寂しそうに微笑みながらも、しょうがないなあって言うのだ。
 ちゃんと間に合ったデートでも、ヒカルが上の空のときがある。あかりが隣にいることを忘れて、自分の考えに沈んでしまって、一言もしゃべらなくなったりする。あかりが部屋に遊びに来たことに気づかず、ひたすら碁盤を見ていたりもする。
 そんなときも、ヒカルがあかりの事を思い出すまで、あかりはヒカルの邪魔をしない。そうしてやっぱり「いいよ」と言うのだ。
「いいよ。ヒカルは碁が一番大事なんだから」って。
 何度もそういうことを繰り返して、あかりの寂しげな微笑みを何度も見ることになって、ヒカルはようやく考えた。そうだろうか。本当にいいのだろうかと。
 もちろん、いいと思っていたわけじゃない。遅刻はよくないことだし、あかりを寂しがらせる度に悪いなとずっと思っていた。ただ、一方でしょうがないと思っていたのも、正直なところだった。碁は大事だ。あかりもいいよと言ってくれるし、優先してもいいだろうとも思っていた。
 でも、一番大事なんだからと言われると、ちょっとひっかかってしまったのだ。
 そうだろうか。本当にしょうがないのだろうかと。
 だからある日、ヒカルはあかりに言った。
「ちゃんと怒れよな」
「え?」
 唐突なヒカルの通告にきょとんとしたあかりに、ヒカルは不機嫌ともとれるくらいに口をとがらせて繰り返した。
「怒りたいときは怒れって。遅刻とか、ふつーに悪いだろ」
「でも」
 あかりの口がいつものセリフを発する前に、ヒカルはそれを遮る。
「よくないから。全然よくない」
「でも、碁は」
「碁は大事だ」
 なおも同じセリフを言おうとするあかりに、今度は同じそれをぶつけて遮る。そしてますます不機嫌そうに顔をしかめて、ヒカルは大きく息をついた。
「大事だけどさ、確かに一番って言われたら一番なんだけどさ」
 ヒカルが怒っているように見えるからか、神妙な顔で黙って聞き始めたあかりの顔が、ヒカルは見られなかった。本音という奴はどうしてこう口にしようとすると背中がかゆくなるんだろう。
「でも、あかりのことも大事だから」
 神妙にしていたあかりの目が丸くなった。
 視界の端にそれが見えて、ヒカルはますます居心地が悪くなったのだが、今さら話をやめるわけにはいかない。散々考えて、出した答えなのだ。
「碁は大事だけど、あかりがいなかったら、できないと思う」
 だから、不満とか我慢しないで怒りたいときは怒れ。もう我慢できないって言われてどっか行かれる方が困る。
 そうしたことをあかりの顔を見ずに全部言い切って、ヒカルは口を引き結んだ。そっぽを向いたままで。もう視界の端にもあかりの顔が入らないくらいに。
 だからあかりがどんな顔でそれを聞いたのか、ヒカルにはわからなかった。あかりがすぐには何も言わなかったのでなおさらだ。
 言おうと思っていたことは全部言えたものの、それからどうすればいいのか考えていなかったので、ヒカルはその体勢のまま固まっていると、ついとそでを引かれたのに気づいた。思わずそちらへ顔を向けると、あかりが笑っていた。その顔がほんのり赤いように見えるのは、ヒカルの頬が熱くなっているからだろうか。
「ありがと」
「ん」
「でも、やっぱり怒りたくはならないかも」
「なんでだよ」
 あんなに居心地の悪い思いをしてまで言ったことが無駄になるのかと、ヒカルはすこしむっとした。けれど、あかりは悪びれずにだってと言った。
「だって、碁をやってるヒカルが好きなんだもん」
 だから碁を優先されても腹は立たない。
「なんだよそれ」
 ヒカルは口を尖らせようとして、でも吹き出しそうにもなって、結果奇妙にゆがんだ顔で鼻を鳴らした。
「オレが碁をやめたら、好きじゃないのか?」
「…………好き」
 たっぷり三秒、間をおいて、あかりの口から出たのは結局そんな答えだった。
 そうして今度こそ二人は勢いよく吹き出した。
「じゃあ、あれだな」
「え?」
「一番じゃないってことかもな」
「碁が?」
「碁が」
 笑いが収まったヒカルの腕に自分の腕をからめて、あかりはふわりと微笑んだ。
「でも大事でしょ?」
「大事だな」
 どっちも一番かなと、ヒカルは腕にかかる重さとぬくもりを感じながら空を仰いだ。

 

051 誤解

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碁の方が大事っていうことが誤解。
説明しないとわからない話ってダメだなあ。
そしてちゃんと乙女度強化月間話になっているのかどうか。
 

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