ここもロクの小屋
みてへんで~
関ジャニのCMの歌が頭に残ると母が言ったので、私の頭の中にまで流れはじめした。
あのCMってやっぱり関西限定なんですかね。関西弁だもんきっとそうなんだよね。だけど、あのダンスも含めてなんだか嫌いになれないっていうか正直大好きなので、なんだかもったいないような気がしますが、でもきっとこんなに喜んで見ているのはうちの母と私くらいなんだろうし、やっぱりもったいなくはないのでしょう。
でも関ジャニのメンバーの名前全部は言えない。そもそも全部で何人なんだろう?
それはそれとして小話は39個目
「迷子のお呼び出しを申し上げます。黄色い上着に……」
電子音のメロディーに続いて流れた館内放送は、迷子を知らせるものだった。
とくに耳障りというほどの音量でもなかったのに、ハワードが顔をしかめたので、その理由を尋ねてみると、ハワードはますます不機嫌そうな顔になった。
「いまだにママに言われるんだ」
大きなため息が一緒に飛び出した。何を言われるのかと重ねて問えば、ひどく渋いものを食べたような顔をして、もう一つため息をついた。
「あなたたちが迷子になっている間、本当に心配したのよ」
普段より少し高くなった声は、ご丁寧に母親を真似たつもりらしい。
迷子になっている間、迷子になっている間と、その調子で何度か繰り返し、しつこいと思えだした頃合いでぴたりと止める。その間合いの良さにほんの少し感心する。
ハワードは三度目の大きなため息をつくと、そのままずるずるとテーブルの上に崩れ落ちた。
「いまだに言うんだ。何かにつけて思い出すらしくてさ。ほんと、いいかげんに勘弁して欲しいよ」
ほとほと困り果てたという風情のハワードを前に、その不作法さをとがめるでもなく、「なるほど、迷子には違いないな」とその母親にも感心していた。
年長者に対して抱く感情としては、不敬にあたるのかもしれないが、多分この感情は感心というのが一番適当なのだろう。
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039 迷子
迷子には違いないですよね