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ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
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もう充分 

 東日本大震災が起きたとき、年配の人が「山津波も恐ろしいんやで」って言っているのを聞きました。
 まさかこんなに早くその恐ろしさを見ることになるなんて。
 震災も今回の台風も被害を「見る」だけで済んでいる幸運な県在住なんですが、うちの裏手もすぐ山だし、人ごとではありません。
 それに、津波の時もそうですが、今回の被害映像も見るだけでも苦しいものです。
 見るだけでもこんなに辛いのに、実際に被害に遭われた方の思いはいかばかりか想像もできません。
 天気図には14号もすでに見えますが、どうか、これ以上辛い思いをする人がでませんように。

 

 いつも通りの生活を送りつつ、お題は33個目です。


 手応えを感じてさおを上げると、すでに見慣れた魚がかかっていた。大きさを確かめ、納得出来るものだったので針を外し陸にあげると、隣から声がかかった。
「大きいね。さすがカオル」
 カオルが顔を向けると、シンゴが大きな目をくるりと回していた。
 今日は二人が食料係の魚当番で、朝から並んで糸を垂らしている。
 この惑星へ降りたばかりの頃は、魚を捕るといってもわからないことばかりだったが、近頃は要領もわかってきた。魚と一口に言っても、川で捕るのと磯で釣るのとは大違いで、方法も適した時間もそれぞれよく考えなくてはならない。そしてちゃんと考えて行動すれば捕りはぐれることはめったにない。
 カオルは寄せられた賛辞に何を返すでもなく、淡々と次のさかなへ向けてさおを振った。
 シンゴも自分の糸の先へ視線を戻した。
 ここへ来るまで魚を捕ったことなど無かったのはシンゴも同じだ。今でもあまり得意ではないようだ。しかしシンゴはわりと辛抱強いので魚釣りには向いている。糸が動かなくても黙って待てるからだ。これがハワードなら10秒もしないうちに飽きたと騒ぎ出すので釣れるものも釣れなくなるのだが。
「僕さ……」
 けれど今日のシンゴは騒ぎはしないが黙ってもいなかった。視線は糸の動きを追いながら、おもむろに口を開いた。
「ここに来るまで、ご飯が用意しなくちゃ出てこないものだなんて考えたことなかったんだ。いつもお母さんが『ご飯よ』って呼んでくれて、そうしたらもう用意されてたし。……でも当たり前だけど誰も何もしなかったら、用意されるわけないんだよね」
 カオルは相づちを打つこともしなかったが、シンゴは一人で語り続けた。
「ご飯だけじゃなくて、水を確保するのもいえを作るのも、苦労したよね。ほんとただ生きるだけのことがこんなに難しいなんて。コロニーなら何も考えなくても楽に生きていけるのに」
 カオルはやはり何も言わなかった。
 うなずくこともしなかった。カオルは生きることが楽だなんて思ったことはなかったからだ。
 だが確かに食事や「いえ」のことを、コロニーで意識したことはなく、そういう意味ではシンゴの感慨もわからなくはなかった。だから否定もできない。
 そうした自分の胸の内を、カオルは詳細に説明することはできなかったし、しようとも思えなかったので、何も言わずにただ糸を垂らし続けた。
 カオルが無言でいることを、シンゴは今度もとがめたりはしなかった。ただ、糸の先から視線をはずしてカオルの方を向くと、かすかに笑った。
「僕、コロニーに帰ったら、前よりうまく暮らせるような気がするよ」
 ――帰ろうね、と続けた声はひどく小さかった。ほとんど口が動いただけのそのかすかなつぶやきは、けれどカオルの耳には届いた。
 カオルは顔を上げてシンゴを見た。まなざしを合わせて、目だけでうなずく。これもまたかすかな反応だったが、シンゴには届いたようだった。シンゴはぱっと顔をそむけて、手の甲で眼鏡を上げるとそのまま勢いよく目をこすった。
 カオルは視線をさおの先へ戻す。引きがあったのだ。さおを上げると、今度も満足できる大きさの魚がかかっていた。
「よーし! 僕も負けないぞ」
 シンゴの声を聞きながらカオルは魚を針から外す。そうしてまた糸を垂らす。人数分にはまだ足りない。
 実のところカオルはコロニーにどうしても戻りたいとは思っていなかった。戻りたくないと思っているわけではないが、戻らなければならない理由もなかった。
 けれど、シンゴは帰りたいと言う。
 帰りたいと思えるシンゴは、帰れるといい。
 カオルはただそう思った。

 

033 生活
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 夕日に向かって叫んだあの日よりは前です。

 

 いまゆうひって変換したら「祐飛」が先に出ました。「大空祐飛」様の方が「夕日」より重要度が高いうちのパソコン。

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