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更新がない日のつぶやきとか備忘録
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夏恐い夏恐い 

 連休にもかかわらず更新がなかったのは、旅行に行って遊びまくっていたから。

 

 だったらよかったのですが(自分的に)、そうではなく、土曜日も仕事だったので三連休じゃなかった上に、ぶったおれていたからです。

 軽い熱中症になったかもというのは先日の日記に書きましたが、それが後をひいたのか、ただ単に夏バテなのか、土曜日の仕事から帰ってからだるくて何もする気が起きませんでした。

 そのままごろごろするだけでは本気でだめになると思って、日曜日、一応朝起きて着替えたり食事したりはしました。また、車のガソリンが切れかけていたので、台風前に補充しようと出かけたのですが、それがかえってまずかったのか、帰ってからはほんとに体を起こしているだけでも辛くて、ベッドから動けませんでした。月曜日は着替えもできませんでした。

 ひたすら寝続けたので昨日はちゃんと会社に行けました。

 19日は健康診断だったのですが、去年より腹囲が4cmも減っていたのはこの夏ばての成果でしょうか。

 今日はだいぶマシになりましたので、小話書けました。
 まだまだ夏は続くのにこんなことではいけませんね。もっとがつがつ食べようと思います。

 

 というわけでようやく仕上がった16個目です。


 シャアラは焦っていた。
 コロニーに帰ってきてからもうずいぶんと経つというのに、全然仕上がらないのだ。
 思い出が色あせたわけじゃない。
 あの島で、あの大陸で過ごした日々は、今も鮮明に心に残っている。
 なのに、それを文字にしようとすると、それは途端にぼやけた頼りないものになって、シャアラの手からすりぬけていってしまう。
 この冒険を本にしよう。
 そう思いついたときにはあんなに高鳴った胸が、今ではじくじくと痛むばかりで、思いあまったシャアラは、ルナに相談した。知り合ったときから、いつもルナはシャアラにとって辛いところから救い出してくれるヒーローだったから。
 話があると言われたルナは、シャアラが話している間ずっと難しい顔をして聞いていた。話が終わると首をかしげてうーんとうなった。
「ごめんなさい」
 シャアラは小さくなってそう付け加えた。思い出を書き綴ることを打ち明けたとき「楽しみにしていてね」と偉そうなことを言った自分が恥ずかしくて、そして本当に楽しみにしていてくれるに違いない友達に対して申し訳なくなったのだ。
 するとルナはぱっと首の位置を戻して、大きく手を振った。
「やだ、謝らないでよ。別にシャアラのこと怒っているわけじゃないわ」
「でも、わたし、全然書けなくて。約束したのに、いつになったら出来上がるのか……ううん。もうできないかもしれない」
 話しているうちにどんどん不安が増してきて、シャアラはすっかり涙声になっていた。
 ルナは少し困ったように笑うと、シャアラの手を取った。
「いいのよ」
 顔が上がったシャアラを、ルナは安心させるようにもう一度笑ってみせた。
「いいの。本当に怒ってないわ。ただ、どう言ったらいいのかなあって考えてたの」
 先ほどの自分の表情の理由をそんなふうに説明して、ルナは片手で頭をかいた。そうしてまた両手でシャアラの手を取り直すと「いつでもいいのよ」と言った。
「あのね、私、シャアラの書いてくれる物語、本当に楽しみにしているわ。でもね、出来上がるのはもっとずーっと後でもいいなあって、そんなふうにも思ってるの」
 シャアラはうっすらと涙が盛り上がっていた目を見開いた。涙は瞳からこぼれない。
 ルナは続ける。
「だってね、今はまだ、何があったかよく覚えてるし、気持ちもそのままだわ。でもね、大人になったら、忘れちゃうかもしれない。私も、全然違う人になってるかもしれない。もしかしたら、夢も変わってるかもしれない」
 ルナは両手に力をこめた。
「そのときに、シャアラの物語を読んだら……うーん。上手く言えないけど、なんていうのかな。助けになるんじゃないかなって思うの」
 シャアラはルナに言われたことの意味を受け止めようとして、何度かまたたいた。そうしてまつげをふるわせて、小さく声を出す。
「でも、でも、わたしだって、大人になったら変わってるかもしれないわ」
 ルナの答えは力強かった。
「うん。だからいいと思うの」
「だから?」
「そう。大人になって変わったシャアラが、あのときのことをどう思うのか。それが物語の中に表現されているわけでしょう? だからこそ、それが大人になった私のことを助けてくれると思うの」
「ルナを、助ける?」
 わたしでルナの助けになるんだろうか。
 そんなふうに思ったシャアラの声が聞こえるはずもないのに、ルナは晴れやかに笑った。
「そうよ。だって、シャアラはいつも私のことを助けてくれたじゃない」
 だから、物語の完成は急がない。どのくらいの時間がかかったってかまわない。ただ、いつか必ず完成させるとだけ約束して欲しい。絶対にあきらめないとそれだけ約束して欲しい。
 そう言ったルナの言葉に、シャアラは無言でうなずいた。ルナの両手を握りかえして。
 どちらからともなく手をほどいて、そうして小指をからめて結んだ約束が果たされるのは、10年ほど後のことになる。

 

016 記憶
 

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