ここもロクの小屋
50個目
1個目書いたのがいつかなんてそんな昔のことは忘れた(まったくだ)。
ペース遅いですが、前には進んでるということで。
50個です。半分です。サヴァイヴでカオルナでラブです。
「喧嘩するほど仲がいい」
手にしていたマグカップのうち、一つをカオルに手渡して、ルナはそんな言葉を口にした。そしてソファに座っているカオルの隣ではなく、その足元にぺたりと座り込む。
手元に残ったマグカップを両手で抱え込み、カップから立ち上る湯気をあごに受けながら、カオルを見上げ、ルナは続きを口にした。
「そんなふうに言うじゃない?」
「……そうだな」
ルナが淹れてくれたコーヒーを口に含んでいたので、カオルの答えはやや遅れた。
「それで?」
続きを促したカオルが自然に手を下ろしたちょうどそのあたりに、ルナの髪があった。無意識に指先にからめたそれがまだ少し濡れていたので、カオルは軽く目を細めた。
風邪をひくからとなんど諫めても、ルナはシャワーの後、髪をちゃんと乾かさないで出てくる。短くしていた頃の感覚が抜けないらしい。洗うのも乾かすのも、機械に任せていれば全部やってくれるのに、何がそんなに面倒だというのだろう。
ルナは自分のカップに口をつけていたので、カオルの表情の変化に気がつかなかった。その手が自分の髪に触れていることにも。
だからルナは口に入れたものを飲み込むと、そのまま自分の話を続けた。
「メノリとハワードを見てると、確かにそうなのかなあって思うの」
そう思わない?と自分を振り仰いだルナに、カオルは渋い顔のまま肩をすくめてみせた。
「そういうことを考えたことはない、が」
「が?」
「ルナとチャコをいつも見ているから、納得はできる」
「ええ!? 私たち!?」
ルナは頬をふくらませて体を戻した。カオルの座っているソファに背中を預ける形。つまりカオルと同じ方向を見ているので、カオルからルナの顔は見えない。
そんなにけんかしてるかなあと、ぶつぶつ言っているルナの顔が怒ってはいないことを、見えなくても確認できたカオルは澄ました様子でカップを傾ける。そろそろ湯気が収まってきたので、早く飲んでしまわなければならない。
「それで?」
飲み干したところでもう一度先を促すと、ルナはカオルの脚に体を預けてそのひざに頭を載せた。そしてその体勢のまま、ぽつりと漏らす。
「けんか、したことないなって思って」
誰が誰とということは言わなかったが、これは当然「ルナとカオル」の話になるのだろう。
どうしてルナの思考がそう流れたのか、カオルにはわからなかったが、くだらないとは思わなかった。どう答えたものかと考えながら、自分の脚の上に散らばったルナの髪をカオルは指ですいてみた。そこにはもうほとんど水気を感じることはなく、カオルはふと口元をゆるめた。
「したいのか?」
カオルの問いに笑みが含まれていることに、ルナは気づいた。馬鹿にされているとは思わなかったけれど、カオルが笑いたくなるのも当然だなとは思った。自分でも、たわいのないことを言っているなという自覚はある。こんなことを言われてもカオルも困るだろう。
でも、羨ましいなと思ってしまったのだ。
けんかしているメノリとハワードがすごく仲良しだと見えたときに、そういえばカオルとはしたことがないなとふと思って、そうして思ってしまったらなんとなく寂しいような物足りないような、そんな気分になってしまった。
だから、カオルの顔を見たら、どうしても言いたくなってしまった。
だけど、でも。
「けんかしてみるか?」
重ねて言われたとき、ルナは体を起こして首を振った。それはそれは勢いよく。
「ううん。いい。やっぱりいいわ」
「そうか」
「うん。だって、せっかく一緒にいるのにもったいないじゃない」
めったに会えないのにと再び自分の脚にもたれかかったルナの肩に手を回して、カオルはその髪にキスを落とした。
「じゃあ、ずっと一緒にいるようになったら、してみるか?」
くすぐったそうに笑ったルナが、どう答えたのかは、もうカオルの耳にしか届かなかった。
050 喧嘩
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え? こんなのカオルじゃない? ルナじゃない?
しょうがないんですよ。ラブ度高めにすると偽物度も高くなるんですっt(言い訳以下略