ここもロクの小屋
誤解だ
昼休みに本を読んでいたら、
「本を読む趣味ってすごくいいよね」
ってものすごく感心されました。
本を読む人はみんなきちんとしているように見えるとも。
段取りとか物事の進め方とか、そういうものがきちんとしていて破綻がないようにみえると、本を読む習慣がないというその人はしきりに感心してくれました。
いや、その、そんなたいそうなもんじゃ……。
私の仕事なんて破綻しまくりなんですよ? 自分の無能さにここんとこ打ちのめされまくってるってのに。
だけど、なんであれ褒めてくれたので嬉しくなりました。
優しい言葉ってやっぱり重要ですね。落ち込んでるのばれたのかも。ありがたいことです。
『アダルシャンの花嫁』『ハルシフォンの英雄』 雨川恵
コラフェリシリーズがそろそろ終わるので、別のに手を出してみました。
新興の国が強大な帝国に戦で一勝し、その講和条約の条件として政略結婚がしくまれた。新興国の王弟にして常勝将軍である主人公のお相手は、帝国の第6皇女。彼女はまだ10歳で。
というお話なので、てっきりコメディかとおもったら、結構深刻に話は進みました。帝国の皇女を妻にすることで周囲に及ぼした波紋は大きいのにまったくわかってない主人公は、自分の立場の難しさを思い知り深く傷つきます。それをなんとか乗り越えたら2巻では、兄である国王が病に倒れたことで難しい立場に立たされて悩みます。彼の成長は3巻以降になるようで、まだ主人公には思い入れがわかないのですが、この先も続けて読んでみようと思えるくらい充分面白いお話でした。
10歳の皇女様との夫婦仲も、弟を溺愛して過保護になっているくせに、ちっとも顔に出さないから弟には全然伝わらないという兄との兄弟仲も今後どうなるのか楽しみです。
コラリーとフェリックスのハネムーンミステリー
『密林の至宝』『霧の中の恋人』『眠り姫をさがして』『狼たちの帝国』
『日曜日には探偵を』『結婚式は大騒ぎ』
なんか勝手が違うなーと思ったら、ハネムーン編はコラリーの暴走度が低いんだということに気づきました。前作はコラリーが事件に首を突っ込んでフェリックスは心配でついていくという構図でしたが、ハネムーン編はコラリーは被害者です。
コラリーがあちこちに無償の愛をふりまくもんだから、いろんなところでもてまくり、そのせいで事件に巻き込まれるという構図。……やっぱりコラリーが悪いのかしら。
せっかくのハネムーンなのに、コラリーとフェリックスが一緒にいられる場面が少ないので甘いシーンは少ないのですが、その分濃いからそれなりに満足。
でもこれで全部読んでしまいました。
次は何を楽しみにすればいいのかしら。
『紅はこべ』 オルツィ
宝塚のミュージカルを見に行くので、予習として読みました。
図書館の蔵書を検索したら、昭和43年発行の児童名作全集しかなくて、わざわざ書庫から出してもらいました。昭和43年にはハードカバーの全集本、1冊280円だったんですよ! 今じゃ文庫だって500円以上するのがざらなのに。
それはそれとして、なんでそんな古いものしかないのかと思ったら、中味読んで納得でした。
主人公紅はこべは謎の人物。時はフランス革命真っ最中。ロベスピエールのうちたてた共和政府がフランス王党派を捕まえては断頭台に送っていた。そんな中紅はこべは王党派の貴族達を共和政府の手から救い出し、イギリスへ亡命させていた。共和政府は血眼になって紅はこべの正体を探ったが、彼の正体はまったくわからず、今日もまたフランス貴族が救われた。謎の人物紅はこべとはいったい誰なのか!?
という内容です。お話は、紅はこべとそれを追う共和政府の役人との攻防が書かれているわけなんですが、話の中でフランス共和政府の悪役ぶりは相当なもので。ラストではロベスピエールが断頭台に送られて革命政府が終わりましためでたしめでたしってなってるくらいです。
ここまで一方的にフランス共和政府を悪役にしたてた話は、今時の児童文学には向かないでしょうね。ある程度歴史を学んでからじゃないと読めない話だ。
共和政府の是非はともかく、内容はヒーロー物としては王道のなかなか面白いストーリーでした。王道すぎて話の展開は読めますし、ヒーローが立派すぎて敵役の共和政府の役人がイマイチ敵になりきれてないというのがもの足りなかったりはしますが、宝塚のミュージカルの題材にはいいなあと。紅はこべの奥さんの役所もいいし。ミュージカル楽しみです。