ここもロクの小屋
ちょっと落ち着いた(数が)
今すごく胃が痛いんです。
なんだろ。月曜日がくるのが嫌なのかな……(笑)
現実逃避は続いておりますが、今週は少なかったのです。
『ボクたちクラシックつながり ピアニストが読む音楽マンガ』 青柳いづみこ
小説ばかり読んでいて疲れたので、小説じゃないものを読もうと思いました。
内容はタイトルままで、ピアニストで後進の指導もされていて執筆もこなすという青柳さんが、のだめやピアノの森を読んで、そのセリフやシーンなどから感じたことなどを書くというコンセプトの本です。
でも、単にマンガの感想というよりは、ピアニストとしてクラシック界のあれこれを、マンガを引用したりマンガと比較したりしながら語るという内容になっています。サブタイトルを見るとマンガがメインのような感じですが、マンガの引用は最小限でした。
なので、マンガ作品を知らなくても面白く読めます。ピアニストが演奏だけでやっていくのがどれだけ大変かとか、留学やコンクールの位置づけとか、非常に興味深い内容でした。
マンガを知ってるとより楽しいのも確か。のだめのコンクールやコンサートの選曲について書かれていることは、実際にやっている人から見たらそうなのかーと感心しきり。のだめの作者の人も色々苦労して選んでいるんだろうなと、改めて思いましたね。
クラシックを知らない人でも面白いと思います。ところどころ読めないところはあると思いますが。アシュケナージとホロヴィッツの音楽に対するアプローチの違いとか言われたって、興味ない人には「???」でしょうし。本文中にたくさんのピアニストのお名前が出てくるんですが、私も知らない人がたくさんいて、「???」ってなっていました。でもそういうとこはすっとばして、わかるとこだけ読んでも楽しい本だと思います。
『知識ゼロからの仏の教え』 長田幸康
この本ですが、一見とってもうさんくさいです。知識ゼロからのっていうあおりも装丁もお手軽雰囲気が強すぎるんですもの。それに、ぱらっとめくった章タイトルがまた。「第1章 悩み、迷って、安らぎを得る」「第2章 そのままでいい。自分にやさしく生きる」「第4章 生き方のキーワードをみつけよう」等々、なんか今流行の癒しとかなんとかセラピーとか、そういういんちきめいたものの匂いを感じてしまったんです。
別にセラピーとついたものが全ていんちきだと言っているわけではありません。が、最近のあまりに安易に「癒し」に走る風潮が嫌いなんです。傷つく前から癒しを求めるのって、間違ってるんじゃないかと。がんばらなくていいよ、ってセリフは、今ものすごくがんばっている人に対して使うものであって、今現在何もがんばってない人にいうセリフじゃないし。
と常々考えているので、自分にやさしくとかそういう章タイトルに、これもそういった安易な癒し本かなーと思っておりました。それでも、仏の教えのさわりがわかるならいいかなと思って読みました。さわりだけ仕入れたら、また別の本で勉強しようと。
私が間違っておりました。すみませんと、読んだ後は深々と頭をさげたくなりました。
仏の教えを簡略化して平易に書いてあるのは確かなんですが、全然安易でお手軽なものではありませんでした。なんていうかもう、仏教に対する漠然としたイメージを払われて、その上で提示された内容に目から鱗でした。ありがたい教えだと素直に思えましたね。
前書きのところで、ブッダのことを「神でも預言者でもなく、人間だということだ。私たちと同じように、人として生まれ、悩んで、人のままで答えをみつけた」中略「そして、もうひとつ嬉しいのは、実践を重んじた教えだということだ。」と書いてあるのですが、本文を読むとその意味がよくわかりますし、私が一番感じ入ったのもそこのところでした。神様というと、私の中では、信じて祈りすべてをゆだねれば救ってくれるという存在と捉えているのですが、この本で説かれている仏はそうじゃない。あくまで自分を救うのは自分で、仏は自分を救う方法をみつけ、その方法を教え伝えてくれる先達という位置づけなんです。なるほどなあと。そういう視点に立つと、仏の言葉は素直に入ってきます。一番感心したのは「筏のたとえ」のところでした。
この本に書かれていることは、あくまで作者の人から見た仏の教えであって、仏教を信じている人がみなこういう立場にたっているわけじゃないことは承知の上で、読んでよかった本だと思います。
『望みは何と訊かれたら』 小池真理子
仏の教えで清々しくなったところに、えらい濃いものを読んでしまったと思いました。
安保闘争・セクト・デモ・アジ演説といった言葉が熱を持っていた時代に、そのど真ん中にいた女性の回想と現在の話。革命活動から抜けた後、結婚して子供も持ち、夫の仕事を手伝って50代となったところで、主人公は過去に濃密な時間を共有した男性と再会する。主人公の思いは過去に戻り、そして。
という流れなのですが、千々に乱れる主人公の思いを反映してか、書き出しのところは時間軸も文章も錯綜して流し読みではついていけませんでした。
内容は……うーん。今の私には消化できないというのが正直な感想です。20代のころの学生運動に燃え、革命家に惹かれる彼女の熱も、50代になって再会した男性にひきずられる感情も、あまりに遠すぎて共感も何もできなくて。
エピソードだけを追ってサスペンスとして楽しむにも不向きな内容なので、濃さにあてられてくらくらしたということだけが確かな感想です。
『くらしのいずみ』 谷川史子
これはマンガ。谷川さん、小学生のときにりぼんで出会ってからずーっとファンなのです。
全編夫婦もののオムニバス。谷川さんはこうした短編をつらねた作品がたくさんありますけど、今までのものに負けず劣らずこれもいいです。
谷川作品の登場人物達は、みんな身近な人を大事にしていて、そのあったかい雰囲気が大好きです。どの話も旦那さんが奥さんのこと好きすぎて、それがおとぎ話のようにきれいすぎるとも言えるんですけれど、そのきれいすぎるところが嫌みにならないのが、谷川作品のいいところだと全力で主張します。あ、もちろん奥さんも旦那さんのこと好きですけど、奥さんの方がより甘やかされている作品が印象に残ったもので。
ラストの「早春のシグナル」は、「くらしのいずみ」とは別に描かれたもののようですが、これも結婚がテーマなので違和感なく1冊のくくりで読めました。そして私も結婚式の友人代表のスピーチで「くやしいです」って言いたいなーって思いました。正確にはもう一回言いたいなーって思いました。すでに実行済みなんですよこれが。機会があればまた絶対言う。誰か私にスピーチ依頼しろ(笑)
『東京マーブルチョコレート』 谷川史子
さらに谷川作品。
プロダクションI.Gの20周年記念作品のキャラクターデザインを谷川さんが担当されたのだそうです。で、その作品の主人公達の過去を谷川さんがマンガにした作品。原作プロダクションI.Gとなっていますが、マンガのストーリーそのものを提供したということではないようです。マンガは谷川さん作。いつもの谷川風味です。
告白されてうれしかったありがとうってあの状況で、女の子は言うかもしれないが男の子は言えないんじゃないかと思いますけれども、でも谷川世界ではアリだと思えてしまうのもいつも通り。谷川マジック恐るべし。
DVDは見てなくても充分読めます。逆にマンガ読まなくてもDVDは見られるようなお話です。
ところで、いつものりぼんマスコットコミックスじゃないからか、2冊とも「告白物語」がついてなくて非常に寂しゅうございました。後書きはあるんですけどねー。短いよー。
コラリーとフェリックスのハネムーンミステリー
『海の上の暗殺者』『迷宮の記憶』
とうとう二人のハネムーンまでたどり着きました。結婚式のシーンとか全部すっとばしなのはいっそ潔い(笑)。後の巻で書いているのかもしれませんけども。
夫婦となってもストーリーはいつも通りなのですが、コラリーの暴走度が低くなっているのは人妻になってそれなりに慎み深くなったからでしょうか(多分違う)。でもラブ度は上がってますねー。コラリーもフェリックスも相手が好きだって気持ちにブレーキとか照れとかそういったものをくっつける必要がなくなりましたから。いいぞもっとやれ。
前シリーズの盗賊は引退しましたけど、コラリーは相変わらずもてているのでフェリックスの試練は続くようです。続きも楽しみ。
今週はマンガを除けば5冊。随分少なくなりました。
今読みかけの「御宿かわせみ」がなかなか読み切れないせいです。寝る前にちょっとずつ読んでます。