ここもロクの小屋
おのれ一度ならず二度までも!
GWに計画していたことがダメになったと言いましたが、なんとかならないかと手をうってみたのですが、それもぽしゃりました。
もーどーにでもしてー。
やる気っちゅうもんが一気になくなりますな。
もういい。GWは何にもしないんだ!
やさぐれ気分で今日も小話。
お泊まり会をやろうと言い出したのはハワードだった。
サヴァイヴ星から帰還して数週間。もう寂しさに耐えられなくなったのかと、仲間達は半分呆れつつその誘いに乗った。実のところ、寂しさや物足りなさを感じていたのは、ハワードだけではなかったからだ。
しかしお泊まり会は全員で、とはならなかった。パジャマパーティなら女の子だけがいいと、シャアラが言いだし、ルナとメノリも同意したので、結局男女別々での開催となった。サヴァイヴでも寝る部屋は別だったのだから、まあ当然の流れではあった。ハワードも別に不満は唱えなかった。
そうして久しぶりに仲間同士で夜をすごした次の日のこと。
「カオルのパジャマってすごく変わってるんだよ。あれ、なんて言うんだっけ」
「浴衣だ」
シンゴの問いにカオルが短く答えると、女の子達はみんな目を丸くした。
「浴衣なんて、私見たことがないわ」
ルナが言うと、シャアラもうなずいた。
「わたしも。本で読んだことはあるけど」
「着物なら、父の客人が着ているのを見たことがある。あれと似ているのだろう? あんなものを着て寝たら苦しくないのか?」
メノリが首をかしげると、ベルが笑った。
「軽そうな生地を一枚はおっているだけだったから、苦しそうには見えなかったよ」
「そうだね。首元も、袖も大きく空いていたし、大丈夫だよ」
シンゴが補足すると、カオルもうなずいた。
「そうなの。私も見てみたかったなー」
しみじみとそう言ったルナに合わせて、シャアラとメノリもうなずいた。
「でも今時浴衣なんて酔狂だよなー」
ハワードが両手を頭の後ろで組んで、口をはさんだ。
「ずるずる長いし、あんなので寝たら邪魔でしょうがないじゃないか」
話題がカオルに集中したのが悔しかったのか、ハワードの口調がやたら浴衣を小馬鹿にしたものだったので、気をそがれたみんなは眉をしかめた。
「そんなこと言うけど、ハワードは普通のパジャマでも邪魔なんじゃないの?」
「どういう意味だよ」
冷ややかな視線のシンゴにハワードが口をとがらせると、シンゴは大げさに肩をすくめて続けた。
「だって、起きたときのハワード、ひどい格好になってたじゃないか。ハワードは普通のパジャマだったのにさ」
浴衣のカオルはきちんとしてたのに、とシンゴの皮肉は続いたが、ハワードは一向に応えた様子がなかった。ひらひらと手を振ってそりゃ当然だとうそぶいた。
「当然って?」
怪訝そうな表情がそろった仲間達を前にハワードは得意そうに胸をはった。
「あの日はいつもの寝巻きと違うものを着ていたからな」
「じゃあいつもは何を着ているのさ」
シンゴの問いに、ハワードはさらに胸をはった。
「シャネルの5番さ!」
「はあ?」
シンゴの語尾が跳ね上がった。他の仲間も意味がわからず目を白黒させている。
ハワードはそんな仲間達の反応を愉快そうに眺めていたが、ふとその視線を一人の顔に固定した。その色白の肌が首まで赤く染まっているのを見て、ハワードはにやにや笑いを浮かべてその相手に声をかけた。
「なんだよ、メノリ。そんなに赤くなって。ははーん。ぼくの体でも想像したんだろう。まったく、いやらっ……!!」
からかいの言葉は最後まで続かなかった。
メノリの目にもとまらぬ黄金の右アッパーがきれいに決まったからだ。
「た~まや~」
どこで覚えたのか、空高く飛んでいったハワードの体を見送ってシンゴが声を上げた。
「ねえ、カオル。浴衣ってどこで売ってるの?」
「女性用のものもあるのか?」
星になったハワードに、もう誰もそれ以上はかまわなかった。何ごともなかったかのように浴衣談義を続ける女の子達に、ベルとシンゴも何食わぬ顔で加わった。
――――ギャグ書きさんに無造作に10のお題 5.星に還る
星に還るで、メノリにぶっとばされるハワードしか思いつかなかった私ってば……。
お題が「ギャグ書きさん」に向けたものだからいいよね。
ちなみにお若い方にはわからないかもしれませね、シャネルの5番。
永遠のセクシー女優マリリン・モンローが、「夜何を着て寝るか?」と問われたときに答えたセリフが「シャネルの5番を着て寝るの」というものだったそうです。
英語では服を着るのも、香水をまとうのもwearなので成り立つ、気の利いたジョークです。だから、「シャネルの5番だけを身につけている」という意味だとは限らないのですが、言った人がモンローだったので、やたらセクシーな想像をかきたてるジョークになったと。ハワードでは役者が不足してるかな(笑)