ここもロクの小屋
ホワイトデーコネタ(サヴァイヴ)
本当はちゃんとトップにあげようと思ったんだけど、色々足りないのでここで。
ああでも、もうホワイトデーとは言えない時間だわ・・・
大手製菓会社の重役が多額の寄付をしているソリア学園では、バレンタインデーに校内に菓子を持ち込むことが許される。いわんやホワイトデーにおいてをや。
それは即ち、風紀委員の仕事もバレンタインデーと同じように増えるということでもある。
2月14日と同じように朝から校門の所定の位置に立った風紀委員たちであったが、バレンタインデーと違うことが一つある。それは取り締まらなければならない対象が、確実に一人は出るということだ。
予想していたことがその通りの現実となって目の前に現れたとき、人が得るのは満足感とは限らない。
校門の前に10tトラックが列を成したとき、最初にメノリがしたのは痛む額に手をやることだった。予想していただけに驚きはないものの、呆れやら深い疲労感やらが波のように押し寄せてきたのだ。次にそのトラックの列を従えた人影が校門前に姿を見せたとき、メノリがしたのは深く息を吸うことだった。それはもちろん、その人影の名を呼ぶための準備をしたのだ。
トラックを背後に意気揚々と校門をくぐったその人物は、何ごとかと集まってきた他の生徒達に笑顔で手を振って応えている。その姿に頭痛が増すのを自覚しながら、メノリは吸った息の量に見合うだけの、いやそれ以上の大音量をたたき付けた。
そこから始まった丁々発止のやりとりはまるで嵐のようで、他の生徒達はただ呆然と見守るしかなかったという。
「ハワード!!!! お前はいったい何を考えているんだ。さっさと車を引き上げさせろ」
「なんだよ、メノリ。今日はホワイトデーなんだからこれくらいいいじゃないか」
「限度というものがある。なんでもかんでも許可しているわけじゃない」
「ぼくがもらった数を知らないのか? これくらいないと足りないのさ」
「お前がこれだけの車を動員して持って帰ったとは聞いていない。もらった数を考えても多すぎだ」
「ホワイトデーは三倍返しがマナーだからな。ぼくは紳士だから、その辺はきちんと押さえてあるんだ。そういえば、メノリ。お前だって生徒会長という立場上、結構もらったんだろ? それなのに荷物が少ないってことは、お返しをちゃんと用意してないんだな。それはちょっと礼儀がなってないんじゃないか?」
「見損なうな! ちゃんと用意してある。私はお前のようなばかげたやり方はしない」
「なんだよ、これ。紙切れじゃないか」
「ちゃんと見ろ!」
「ヴィスコンティ家主催、ティーパーティーのご案内?」
「私の選んだお茶とお菓子、そして音楽でおもてなしする。礼儀がなってないなどと、ただ物をもってきただけのお前に言われたくない」
「持ってきただけとはなんだよ! じゃあぼくだってハワード財団の遊園地にみんなを無料で招待しようじゃないか。今日用意したプレゼントはそこで配る。これで文句ないだろ?」
「人の真似をするのか? 二番煎じとは芸がない奴だ」
「うるっさいな! メノリはぼくに何もくれなかったから招待してやらないからな」
「かまわない。だが、うちの茶会にはお前も来てもいいぞ。私はチョコをくれた人だけとは言わず、学園の生徒で希望者は全て招待するつもりだからな。チョコのお返しというだけではなく、私からの感謝の気持ちを示す場にするつもりだ。まあ無理にとは言わないが」
「そうまで言われちゃ仕方ないな。行ってやるよ。その代わりメノリも遊園地に招待してやってもいいぜ」
「してほしいなんて言ってない。それよりさっさと車を引き上げさせろ」
「二人とも、よくあれだけしゃべれるよねー」
のんびりと感想を述べたのはシンゴだったが、その場にいたほとんどの生徒も同感であっただろう。
後日、二人の言葉通り、学園の生徒は全員お茶会と遊園地の両方に招かれた。
「メノリにもハワードにも何もあげてない僕達が一番得したね」
そう言ったのはまたもシンゴだったが、この感想もまた、多くの生徒で共有されたものであっただろう。
ちなみに、トラックに積まれたプレゼントもまた、招待された生徒全員に平等に配られたため、お返しを期待してハワードにチョコを配った組が一番がっかりしたということだ。
もうちょっとちゃんと書くつもりだったんですが、時間とか気力とかが間に合いませんでした。もう一本ホワイトデーネタがあるんですが、それは完全に時間切れ。週末にはなんとかなるかなー。