ここもロクの小屋
レポートでも
お書きになったのでしょうか。
図書館で本を選ぶとき、「今月の新刊」「帰ってきたばかりの本コーナー」からごっそり抜いてくるという方法をとっています。普段興味のない作者や分野の本が読めるので、そういうことをしているのですが、そうするとたまに同じ作者または分野の本ばかり・・・というときも。
今回はそうでした。どなたか、レポートか何かに使ったんでしょうかね~。
『うつを気楽に癒すには』 斎藤茂田
うつを広い範囲でとらえて、その解説や対処法、実際のケースの紹介などを読みやすい形で提供している本。「広い範囲」というのはどういうことかというと、病気としての「うつ」だけではなく、「うつな気分」も含めているってことです。「うつ病」ということばが普及して、病気で苦しんでいる人が周囲の理解を得られやすくなったことはいいことだけれど、単に「うつな気分」でしかないのに「うつ病」だと思いこんだり、それを免罪符のようにふりかざしてさぼったりする人が出ているのは困ったことだと前書きにありました。で、その病気ではないうつに振り回されないようにということも書いてあります。
非常に読みやすかったのですが、あまりにさらっと読み過ぎて、中味をあんまり覚えていません。読んだ私の姿勢に問題ありなようです。
『どうするの? 身近な人のうつ』 上野玲・著 大林正博・監修
実際にうつ病を経験し、現在も治療中である筆者が、うつ病の人にどう対処すればいいのかをQ&A式でまとめている本。うつ病になったのが、自分にとってどういう関係にある人なのか、「子供」とか「恋人」とか色々想定してそれぞれ別の章にまとめてあります。
お金の管理をどうするかとか、病院に行かせるためにはどうするかとか、具体的なアドバイスが並んでいるので、参考になると思います。それに、作者自身が病気を経験しているので、うつ病になった本人がどう感じているかの部分も。
うつ病というのは、素人が考えているより色々な形があり、個人差も大きいということなので、この本に書いてあることが絶対ではないでしょうが、うつ病について何も知らないから困ったというとき、結構役に立つのではないかと思います。
うつ病の人は、病気になる前とは思考の道筋が変わっているので、いつもと同じように励ましたり元気づけたりするのではダメなんだというようなことはよく言われていますが、どういうことがどういうふうにダメなのか具体的にイメージできます。
『うつを生きる』 芝伸太郎
この本のは、メランコリー親和型うつ病に限定して書かれています。メランコリー親和型というのは、日本人の多いと言われている、いわゆる真面目な人がかかりやすいと言われているうつ病。
うつ病の症状や治療についての解説の他に、メランコリー親和型うつ病になりやすい性格や生き方の解説も書かれています。また、そうした日本人的な気質というものは、昨今悪いイメージでとらえられることが多いのですが、果たして本当に悪いのか?という視点での話もありまして、そうした生き方を否定せず、うつ病になりやすいという点もふまえた上でそのまま生きればいいのだという主張がなされています。
一番興味深かったのは、うつ病についての部分よりも、日本人気質について書かれていた箇所でした。メランコリー親和型うつ病にかかりやすい人の世界のとらえ方が哲学的に解説されているんですが、普段漠然と受けて入れていることを、明確な論理でとらえるという作業の面白さを感じました。哲学って面白いなと。
本来まったく別のモノであるはずの罪と罰をセットでとらえて、罪は罰をうければつぐなえると考えるということは、罪と罰を「個々の質」ではなく、その重さという「量」で認識しているからだ。ものごとを認識するときに「質」を重視するか「量」で捉えてしまうのかの差が、メランコリー親和型うつ病にかかりやすい人とそうでない人の差で……とかなんとかそうした部分が面白かったですね。
『気まぐれ「うつ」病 ――誤解される非定型うつ病』 貝谷久宣
今度の本は、メランコリー親和型ではなく非定型うつ病についての本。
うつ病という言葉がよく知られるようになったころ、うつ病といえば「メランコリー親和型うつ病」のことだったそうで、今でもうつ病の症状や治療に関しての知識が「メランコリー親和型」に限定したものしか普及していないことによって生じる誤解を解くための本。
うつ病の症状や実際の症例、治療法やその過程を丹念に追っています。専門的な用語も多いのですが、平易に解説されているので、とっつきにくい印象はありません。
実際のケースを紹介されている箇所を読んでいると、この病気の難しさに胸が痛くなってきました。
4冊まとめて読んだのですが、理解できたとはとうてい思えませんでした。
読めば読むほど、難しいです。