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ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
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期限切れ 

 図書館に返す前にメモだけ

『十二の嘘と十二の真実』 あさのあつこ

 

 おとぎ話のような雰囲気のお話と、現代日本の一人暮らしの老女の一人語りが十二ずつ並んで全部で二十四の短編が綴られています。帯の文句「この話には毒があります」の示すように、穏やかな話ではなく、死や殺人が全編に関わってきます。
 最後まで読むと、おとぎ話と一人語りの間につながりができて「全ておわり」ということになっているのですが、私にはよくわかりませんでした。だいたいこんなところかなあというのはあるのですが、すっきりはしない。その二「いっしょに帰ろう」が全体の中でどういう意味を持っているのかもつかめなかったし。一つ一つの話は面白く、それらがどう収束するのか気になって、どんどん読んでいけるのですが、結局最後にはもやもやしたものが残りました。

 多分、そのもやもやを残すのが作者の意図なのでしょうが、私の趣味には合わなくて、駄目でした。

 

 

『大河ドラマ「義経」が出来るまで』 黛れんたろう

 

 「義経」の監督による制作日誌という形で、制作のプロセスや監督の考えなどが書かれています。
 主役の滝沢くんとの対談もあり。対談というより監督の話を滝沢くんが聞くという形になってましたけど。監督しゃべりすぎ(笑)
 大河ドラマを取るのには色々な苦労があるのだろうなというのは、誰でも予想できることですが、その苦労の具体的な内容をのぞきみできるのはなかなか面白かった。時代劇の置かれている現状や、先のことを思ったときの憂いなども書かれています。ただ、分量はそれほどでもないので、さらりと読める作りになってます。
 個人的には、どうしてその役者を選んだのかというところを知りたかったのですが、そこが書かれたのは義経と静のみ。監督が自分で選んだ役者ばかりじゃないからなのかもしれませんが、ちょっと残念でした。

 

 

『約束 般若心経は「愛の詩」』 山元加津子

 

 養護学校の先生をされている作者が、普段感じていること考えていることが、般若心経の中に書かれていることと同じだということに気がつき、般若心経を自分の言葉で訳してみたという本。
 訳といっても、あくまで作者の考えを反映したものなので、般若心経というよりは、山元加津子作の詩といったほうがいいように思います。般若心経を読んで、作者が感じたことを詩にしたというもの。だからこの本では単なる訳ではなく「心訳」という言葉が使われています。
 仏教における「空」や「無分別」の概念を、みなありのままでいいのだというメッセージに置き換え、今全てのものがあるのは、いつかのいい日のためなのだから、全てを受け止めて自分を信じて生きていけばいいと訴えています。
 特に目新しいメッセージではないので、この人の言葉の選び方が気に入った人にはいい本だと思いますが、他にお気に入りの詩人がいればそれを愛用すればいいのではないかなと思います。
 私は特にどうとも思わなかったのですが、巻末に作者の言葉が載っていて、そちらの方はなかなか興味深いものでした。

 

 ナスカの地上絵。地上にいては何を描いてあるのかわからないそれを、なんのためにどうして描いたのか不思議だとよく言われていますが、作者は別に不思議でも何でもないといいます。
 作者が学校で接している子供の中には、どこにいても自分の位置を正確な絵地図にすることのできる子供がいる。ナスカの地上絵も、自分の目を空に飛ばして地上を見下ろす能力を持った人が描いたのではないかと。
 何年前何年先の曜日であっても、すぐに計算できる子供や、編み目をひと目みただけで正確に再現できる子供など、仕事の中で色々な能力を持った子供と接してきた作者にとっては、ナスカの地上絵も謎ではないという話。
 現代社会に置いては、ある程度能力や情緒が均一な人でないと、学校や会社で過ごすことがやりにくくなっていますが、昔はそうした一芸に秀でた人たちの居場所も今より多くあったのかもしれないと、今の社会にもそうした場があっていいのではないかと、そうしたことを思いました。

 

 

『厭犬伝』 弘也英明

 第19回ファンタジーノベル大賞大賞受賞作。
 犬が関係するのかと思ったら、単に「厭」も「犬」も人の名前でした。
 明治の日本っぽい雰囲気を持った異世界の町が舞台。
 表紙の見返しや帯に書いてあるあらすじや、内容紹介というのは、往々にしてねたばれになっており、先に読んでしまうと本編が面白くなくなるものもあるのですが、これに関しては読んでおいた方がいいかもしれません。「仏」「合」「汚木」「依姫」といったこの世界独特の言葉や概念を先に知っておいた方が読みやすいと思います。私は最初、それをかみ砕いていくのに疲れて、途中で放り出しました。
 そんな複雑な概念じゃないんですけれども、プロローグの部分で世界の雰囲気に浸れなかったので、嫌になってしまいまして。
 主人公の「厭太郎」くんが生きる意志を取り戻す物語、と簡潔に表現するならそういう話。
 この世界の雰囲気が気に入ればいい話なのかなと。私は趣味に合わなかったので、最後まで読んだことをちょっと後悔しました。別に途中で放り出したままでもよかったなと。
 アニメだったら楽しめたかも。
 時代劇とか格闘ものとかでもそうなんですが、戦闘シーンの長い物って飽きちゃうもので。刀を右から振ろうが上から振り下ろそうが、結局どっちが勝ったかだけわかればいいという、なんとも作者の苦労を無にする読み方をしてしまいます。戦闘中の心理描写ならちゃんと読むのですが、体の動きはどうでもいいと思ってしまうので。自分が体の動かし方を知らないから、どんなふうに描写されてもいまいちよくわからないのがいけないんでしょうね。想像力が足りないようです。

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