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読書期間 

 相も変わらず本に埋もれています。

 

 ほら、だって、本を読んでいる間は何も考えなくてすむじゃん……?

 


 

 有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 橘香いくの
『翡翠の瞳』『奈落の女神』『ふたりで泥棒を』『革命はお茶会の後で』『ローランスは猫日和』『楡屋敷の殺人』『黒い塔の花嫁』
 さくさく読めるので、もうこんなに読んでしまいました。
 コラリーがお馬鹿さんだと言いましたが、なんだかそれが可愛く思えてきました。そして何をやらかしても「コラリーだから仕方がない」と思えてきました。フェリックスに負けないくらい、コラリーにいかれてしまったようです(笑)
 さすがの二人の仲も、ここまで読めば進展しているのですが、それでもまだまだ可愛らしい間柄です。フェリックスが気の毒なくらい(笑)。そのフェリックスの過去とかトラウマの話が出てきたのですが、それについてはちょっとありがちで少しばかり興ざめなのですが、コラリーのことだから、それを予想外の方向にぶっとばしてほしいなと思っております。
 ちなみに、このシリーズの表紙は基本的にコラリーとフェリックスの二人で、しかもフェリックスがコラリーにおさわりしてるのがお約束で、それがまた萌えポイントなのですが、膝枕表紙には特に胸をうちぬかれました。膝枕をしてもらっているにもかかわらず、腕までとっているのがフェリックスらしくて微笑ましかったのでした。

 

 星宿姫伝 菅沼理恵
『しろがねの覚醒』『しろがねの永遠』『しろがねの幸福』
 シリーズひとまず完結。そして番外編一冊。
 主人公はなかなか好みだし、一番重要な事件の解決についても文句はないんですけど、作者の中で作られている設定が膨大すぎて、それを出さなくてもいいとこまで出しているような印象がありました。このシリーズはさらに続くようなので、伏線ととればいいのかもしれないけど、でもあれこれ唐突だったり説明不足だったりするような。
 一番びっくりは王妃様の行く末だったな……。続編あるなら、あれはもう続編のエピソードにしてもよかったんじゃ。一気読みしているから、私が伏線をあちこち見落としているという可能性も否定できない。が、話の流れを知っている現在、読み返そうという気は起きない。
 ロマンスについては、続編を待て、になるのかな?
 主人公はとりあえずお父さんが一番好きだったので、いっぱい出ていた美形の殿方は全部ロマンスの相手にはなりきらなかったので。今後誰かが抜け出すのかなー。

 

月色光珠 岡篠名桜
『春宵に灯る紫の光』『月珠は黒翼を抱き』『秘密の名前』
 これもシリーズひとまず完結。及び番外編一冊。
 剣術少女と皇帝の隠密のお話というふれこみだったので、もっとチャンバラとか陰謀とかうずまくのかと思ったけれど、結局このシリーズが一番ロマンスしてました。
 むっつり男が天然口説き魔で触り魔だったのが、なんだか面白かった。クールな隠密のはずがどんどん壊れていくので、甘さは充分味わえました。

 

『月とシャンパン』 有吉玉青
 20代から50代までの女性の恋愛と結婚を扱った短編集。
 主人公はそれぞれ別の人で、一人の人生をおっかけたものじゃありません。
 この前読んだ『風味絶佳』は、「身勝手」という言葉が浮かんだけど、今回は「タイミング」でした。つくづく恋愛ごとって二人のタイミングが合わないとダメになるんだなと。そしてタイミングさえ合ってしまえば、相性が悪くてもうっかり結婚ってのも有り得るんだなと。小説だから事実じゃないのは承知の上で、そんなことを考えてしまうお話ばかりでした。
 でもやっぱり恋ってしないよりはしてるときの方が面白いと、そう思うのでありました。

 

『東京DOLL』 石田衣良
 若くして大ヒットゲームをとばし、しかもそのゲーム会社の代表は自分なので、お金と自由を充分に持っている「MG」という男性が主人公。ゲームの続編の構想を練っているときに、コンビニでゲームのイメージを膨らませる店員に会う。その店員、自分よりいくつも若い女の子「ヨリ」が与えてくれるものは、ゲームのイメージだけではなくなっていって……っていう話。
 もっと破滅的な終わりになるのかと思ったけれどそうでもなかった。 人と人との出会いが、それまでと違う生き方を作っていく過程っていうのは、どういうものでも読んでいて面白い。MGがヨリと出会って得たものと失ったものは色々あるけれど、結局そう大きくはない。けれど、この先次第で、大きくなるのかもという終わりの読後感がよかった。

 

『びっくり館の殺人』 綾辻行人
 ミステリが読みたくて借りた本。でも、児童向けという企画で書かれたものだったので、本格ミステリで頭をぐちゃぐちゃにしたいという意図には合わなかった。オチというか謎解き自体はそう難しいものではなかったので、すぐに先は読めましたし。
 面白くなかったわけではなく、充分面白かったのですが、さくっと読めてしまったので謎に浸る間がなかったのです。さくっと読めすぎて、「悪魔云々」に関わる辺りも、恐怖感はまったく湧きませんでした。

 

『迷宮百年の睡魔』 森博嗣
 森博嗣のミステリは面白いよと、人に勧められたので借りてきた話。
 その人が、「ミステリはミステリだけど、普通のミステリじゃない」と言ってた理由はよくわかりました。コナンとか金田一みたいに「犯人はお前だ!」とかって犯人当てやトリックを解いたりするのが目的という話ではない。
 時代設定は近未来。エネルギー問題を解決した人類は戦争する必要がなくなり、また広い世界との交流も必要なくなり、狭い地域の同じ文化圏で固まって閉じた生活をするようになったという設定。
 ただ、これは『女王の百年密室』の続編なのだそうです。そっちを読んでからじゃないと、主人公に対する理解が足りないので、主人公の独白や思考について行けない本でした。
 どんな本がお薦めということまで、聞いておけばよかった。
 とりあえず、『女王の百年密室』を借りてこようと思います。

 

『夏の名残の薔薇』 恩田陸
 恩田ワールドの魅力が花開く艶やかなミステリと帯にあったので、それに惹かれて読んだ本。
 確かにミステリなんだけど……。
 章ごとに語り手が変わるのは、同じ恩田作品の『黒と茶の幻想』などにも使われている手法。語り手が変われば視点が変わるので、同じ人物に対する評価も当然変わり、それが謎になったり解決のヒントになったりするわけですが、正直なところ、『黒と茶の幻想』に比べると最後の語り手の役者が不足しているように思えた。
 登場人物の中で、傍観者に一番近いところにいる人がラストというのは、『黒と茶の幻想』と同じではあるけれど、そのラストの人物に対するそれまでの情報が少ない上に偏っているので、「なんでこいつが締め?」という物足りなさが残る。『黒と茶の幻想』では、ラストの人物に対するそれまでの情報を、ラストの語り手自身がある意味裏切ったのが心地よい驚きとなってそれが読後感の良さにつながったけれど、今回の裏切り加減は気持ち悪かった。
 それに、最後の章でそれまでの殺人に関してそれぞれの語り手が語る場面もどうかと。あの状況であのメンバーで、ああも全部語るものだろうか。語ってしまう、そうさせるだけの舞台が作られてしまったのだということなのだろうけれど、納得できなかった。

 

 巻末に作者のインタビューが載っていて、それに作品の結末に対する作者の言葉がありました。
 「本格ミステリっていうのは、〈説得の文学〉だと思っています。~中略~作者が説得して、読者が納得すれば、それは本格ミステリです。」
 だから、ミステリであっても完全に閉じた結末である必要ではないと、作者は語っていて、それについては全面的に賛成なのですが、この作品に関しては私は説得されず、消化不良の結末でありました。

 

 

 ミステリが読みたくて色々手に取ったのに、どれもこれも消化不良ってどういうことだー。
 今度はクリスティでも借りてきます。
 そして今数えてみたら、1週間で18冊読んでました。
 何も……何も考えたくないんだ……・。
 

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