ここもロクの小屋
ミラクルッローマンスッ
ここんとこの読書量を考えると、ちょっと暗澹とした気分になります。
1日で文庫6冊とか、どんだけイライラしてたんだ……。
『最後の魔法使い』『大地の女神』『西風の贈り物』 喜多みどり
西風のディディウスシリーズ。最終巻までと外伝一冊
どうせなら全部読もうかと。
話が大きくなって、前作のキャラもからめて、それでもこの巻数でちゃんとまとまってました。主人公もしっかり成長していったし、最後も「よかったね」で終わるので、ストレスごまかすために読むものとして、選択は間違ってなかった。
ただし、登場人物がやたら増えて、世界も広がっただけに、なんか薄いという印象は残った。やるべきことは全部やってるので消化不良はないんだけど。
天空の神々の扱いだけがなあ。あれ以上書いてもくどいだろうけれど、1巻からずっと陰謀がどうこう言われてたわりに、肩すかし感はあった。
これ以上状況がややこしくなったら、別の不満が出てしまうんだろうし、この作品ではこの程度でいいんだろうなとわかってるんですけどね。複雑な陰謀うずまく作品を読みすぎているので、私が深読みと期待をしすぎたんでしょう。
『図書館革命』 有川浩
内乱とか危機のほうがハラハラしたなあ、というのが最初の感想。
やっぱり手塚のお兄さんの立ち位置が変わったのが大きいのかなあ。
あとは堂上と郁の関係がほぼ安定してるからか? 郁が怒られるとこなくなったし。
まとめっていうことで、この手で終わらせたかあという他には特に印象も感想もなかった。
『別冊 図書館戦争Ⅰ』 有川浩
帯にしつこくベタ甘ですよーと書いてあるのがまず笑いを誘いますね。
やっぱりラブコメ要素はいらんと言ってくるファンもいるのかな。コミカライズも少女漫画でロマンス増量と、少年?漫画で熱血とおバカ度増量の2パターンやってるし。
中味は、帯を裏切らない内容となっておりました。
堂上が初カレな郁ちゃんの初々しさといったら、柴崎じゃなくてもつつきたくなりますね。
それに比べて堂上……。この人の恋愛履歴の方が気になる。絶対手痛い失恋を大人になってからしているに違いない。郁ちゃんに対する手練れぶりはその反省を元にしたものなのではないでしょうかね?
そんなこと考えていたら、本編よりその昔の失恋の方が萌えだと思った私は多分この本の正しい読者ではない。
『しろい虹』 石田千
詩のような雰囲気の短編小説かと思ったらエッセイなんだそうな。
若い女性の日常をさらりと書いています。短い文をつなげて、事実と過去の思い出と自分の考えを並列で並べたもの。エッセイということは、ご本人の日常なんでしょう。
でも、一話で投げた本。
金平糖のような軽くて甘くてどこかふわふわした雰囲気にうんざりした。つかみどころがなさすぎて、こういう本は苦手。
図書館革命の感想といい、これらを読んでいたころは、相当私の心が枯れていたものと思われます。何にも響いてないもんなあ。
有閑探偵コラリーとフェリックスの冒険 橘香いくの
『薔薇の埋葬』『お城には罠がある』『カブラルの呪われた秘宝』『王国、売ります!』
この前に読んだ仙女見習いの子の話とディディウスの話が、思ったよりロマンスしてなかったので、もっとロマンスとりあえずロマンスというコンセプトで選んだ本、第一弾。
気が強くてお人好しのコラリーと、無愛想で正直すぎるフェリックスのお話。
フェリックスはコラリーにべた惚れなんだけど、彼は社交辞令がまったく理解できないタチなので、コラリーを褒めるときも「怒鳴り声がホエザルみたいでかわいい」とか「学習能力のない霊長類」とか言ったりして、いつもコラリーを怒らせています。コラリーの方は、フェリックスが頼りになることはわかっているし、幼なじみなだけに昔から無意識に頼っているんだけれども、フェリックスがそんな調子なので、とても恋の相手としては意識できないという感じ。
ストーリーはワンパターンで、コラリーが持ち前の好奇心と人の良さで色んな事件に首を突っ込んで、フェリックスがそのフォローに奔走するという話。でもこのケンカップルが非常に可愛いので、かなり気に入りました。舞台も近世から近代のヨーロッパ風で、馬車とかお城とか社交界のパーティーとか、私のツボを刺激するのもよかった。巻が進むごとに、コラリーがちょっとずつフェリックスを意識していくのも、お約束ですけどでもいいのです。こういうのが読みたかったんだから。
この先二人は婚約して、二人のハネムーンが舞台のシリーズもあるそうなので、しばらくはこれでにやにやできそうです。
ただ、コラリーがちょっとお馬鹿すぎて、『王国、売ります!』でちょっと呆れた私が、ハネムーンまでたどり着けるかどうかは不確定。
星宿姫伝 菅沼理恵
『しろがねの誓約』『しろがねの継承』『しろがねの追憶』『しろがねの鼓動』
ロマンスロマンスで選んだ本第二弾
父親と二人で旅をしていた白雪は、旅の途中で父を失い直後に自分の出生を知る。古くから繋がる国の結界を護る斎宮という自分の役目を知り、斎宮として生きる決意をした白雪は……。
という話でロマンスは主軸にないのですが、斎宮を護る騎士が4人いたり、守護神になつかれたり、隣国の王子に心酔されたりと、いい男てんこ盛りなので、ロマンスも進むのかなーととりあえず読み進めました。でもいい男てんこ盛りってことはアンジェリークや遙かみたいに、どのハンサムとも中途半端な関係までしか進まないということなので、4作目まで読みましたが結局ロマンスはさほどでもありませんでした(笑)
でも、主人公の出生とか国の歴史に絡んだ悲劇とか、その辺がどこに収まるのか気になるので、続きも読む。
白雪ちゃんが、まっすぐないい子なので応援したくなります。
回りをとりまく野郎ども(笑)は、どの人の描写もまだ少ないので、どれがひいきとか好みとかはありません。白雪ちゃん自身は、お父さんが一番好きだしね。
『エンドロールまであと、』 壁井ユカコ
非常にまれな一卵性の男女の双子が主人公。
一卵性の男女の双子というのは、ある種の染色体異常が起こったものなので、双子のうち女の子の方は非常に体が弱く、10歳まで生きられないとか言われながらなんとか高校生まで生きてきた。男の子は健康で、そんな双子の姉をずっと守り助けてきた。
深い絆で結ばれた二人の関係の「正解」の形は。
高校生のときは、見えるものも広く大きくなってくるけれど、まだ子供なので、見えてもそれに上手に対処することはできなくて、がむしゃらになったり不安定になったりするわけですが、そうしたところを双子とそれぞれの友人の視点を用いて書いています。その痛々しさとまぶしさが味わえる小説です。
別の形の「正解」を見たかったなと言うのが、正直な感想ですが。
月色光珠 岡篠名桜
『黒土は白花を捧ぐ』『暁の野に君を想う』『天馬は闇夜を翔る』『空恋う銀色の果て』『冬苑に徒花は散る』
ロマンスロマンスで選んだ第三弾。
ロマンス重視ということでは、これが一番アタリなのかも。舞台は唐王朝の都長安。主人公は、落ちぶれ長安を離れた名家の娘で、弟が科挙を受けるためその付き添いとして長安に戻る。そこで謎の男を助け、その後その男と再会し、後はまあお約束(笑)
主人公が純情で鈍いお嬢さんで、相手役はいい男だけどムッツリ(大笑)。巻が進むごとに男のタガが外れて甘さも増量されていきます。事件は色々起こるけど、主軸はロマンス。『冬苑』で一応両思いになったんですが、この後もシリーズ続くようです。
一冊目の出だしで、やたら固い文章だなあと思ったのですが、これが作者のデビューシリーズなのだとか。感じた固さはそのせいかもしれません。読みづらいわけではないですよ。
改めて振りかえるとすごい量だな……。10日ほどでこれは読み過ぎだろ。いくら読みやすい文庫が大半だと言っても。
中味をあまり覚えてないはずだわ。