忍者ブログ

ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
HOME  >    >  [PR]  >  日記  >  どうでもいいですよ
[261]  [260]  [259]  [258]  [257]  [256]  [255]  [254]  [253]  [252]  [251

[PR] 

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

どうでもいいですよ 

 みなさまは、就職の「就」という字を手書きするとき、図の赤丸の部分をどのように書きますか?
 うにっと曲げるか、まっすぐ下ろすか、どちらでしょうか。

 私はずっと「まっすぐ下ろすのが正しい」と信じていました。曲がっているように見えるのは「活字のクセ」(活字のクセとは例えば、比較の「比」の一画目が活字だと二画に分かれて見えるように、活字の字体が正しい字体とは異なるようなもののことです)なので、手書きはまっすぐとそう習いました。漢字テストでうにっと曲げて書くと×をくらいました。

 ところが先日「曲げるのが正しい。でもまっすぐも間違いではない」という意見を聞きました。
 そうなの!? と長らく信じてきたことがひっくり返されてかなりの衝撃でした。長く生きていると常識が常識でなくなる瞬間に少なからず立ち会います。

 ただですね、その意見を聞いたとき、その根拠を聞くのを忘れてしまったのですよ。なにしろ酒の席だったので。ずっと信じていたことがひっくりかえったのですから、ぜひともその根拠を知りたい。
 というわけで、調べてみました。本当はどっちが正しくて、何がその根拠となるのか。

 どうでもいいと思いますが、以下はその結果です。
 自分のための覚え書きに残しておきます。


 

 なにはともあれググッてみましょうか

 こちらのサイトの→中学受験専門国語プロ家庭教師
 こちらのページ→「就」の字形についてに詳細な解説がありました

 ここの解説によれば、「まっすぐ下ろす」のが正しいが、「うにっと曲げる」のも異体字としてあるので厳密には間違いとは言えない。が、学校で教えるなら正字である「まっすぐ下ろす」の方が望ましいということになります。
 「うにっと曲がって」見えるのは、活字の成り立ちからくる「クセ」あるいは毛書で一画目をしっかりおろしたときの跡に似せた「飾り」にすぎないと、様々な活字も紹介されています。

 

 あれ? やっぱり私が習った方が正しいのか?
 こうなったら、ネットじゃなくてちゃんと本で調べましょう。

 

 『大漢和辞典』 大修館書店 平成2年 第二版
 『字統』 平凡社 平成4年 第二版
 『新字源』 角川書店 平成6年 第322版
 『新選漢和辞典』 小学館 平成7年 第六版
 『学研漢和大辞典』 学習研究社 平成6年 32刷

 

 とりあえず片っ端から見ていったのですが、どれも使われている活字は「まっすぐ」タイプでした。まっすぐおろす初筆の部分に「飾り」があって、それが「飛び出して曲がっている」ように見えないこともない、くらいのものはありましたが、明らかに曲げて書くというものはない。
 まっすぐ書く方が正しいのでしょうか。

 

 でも、漢和辞典は漢字の意味や成り立ちを教えてくれても、書き方を教えてくれるものではないので、「まっすぐ書く」とか「曲げて書く」という解説はないんですよね。やっぱりわからん。

 

象形文字と会意文字

参考になりそうなのは、「就」の部首の部分「尢(だいのまげあし・おうにょう」についての解説。
 「尢(オウ)」に関しては、元々の意味が「足を曲げて立っている人」を意味する象形文字なので、元々の字はうにっと曲げて書いていたようです。
 『字源』をみると、「就」はまっすぐ下ろす活字ですが、部首を示す「尢(オウ)」は明らかにうにっと曲げた活字を使っています。他の辞典は「尢(オウ)」もまっすぐ下ろしていますが。

 「尤(ユウ)」は手のひじ+一印という会意文字(象形文字の説もあり)なんだとか。よく意味はわかりませんが、元の字をみると「うにっと曲がって」いるように思えます。
 この元の字形については、「大漢和辞典」を始めいくつかの辞書に出ていますが、どれをみても「うにっと曲がって」います。

 となると、やはり「曲げて」書く方が正しいのでしょうか。

 

 うーん。でも、いくら元の字形とはいっても、ここまで昔に遡れば曲がっているといってもなあ。根拠としては弱い。今となってはまっすぐの方が正しいのかもしれん。だって漢字の「川」がひらがなの「つ」とカタカナの「ツ」になったって説もあるんだぜ。今「つ」を三画で書いたり、「ツ」を三本縦にまっすぐ伸ばして書いたら×だろ? 今現在どうなっているという決め手はないのか決め手は!

 

 『書き順辞典』 第一法規出版 平成7年 第4版
 コレなら書き方がのってるんじゃ、と思って見てみました。
 活字は「飾り」があるので、曲がっているように見えないこともないというタイプでした。が、問題の11画目については、10画目につけて書くという注意書きはあっても、曲げて書くという注意書きはありません。でもまっすぐ書くという注意書きもありません。どっちかといえばまっすぐ下りているようには見えますけれどねえ。
 どっちやねん!! 小学生向けの辞典なら書いておけ!

 

 小学生向け! そうだよ。問題の漢字を習うのは小学生なんだから、小学生向けの辞典を見ればわかるのかも。

 

 『小学漢字学習字典』 日本標準 昭和54年 改訂&再版
 これだけやたら古いのは、私が昔々いとこのお姉ちゃんからもらったものだからです。

 おお!? この辞書の活字は「うにっと曲がって」見えますね。
 他の辞典の活字は「曲がっているように見えないこともない」という程度で、あくまで「活字のクセ」あるいは「飾り」でしかなかったのに、この辞書は曲がって書いてあるように見えます。書き順の解説の手書き図版も、曲がって書いてあるように見えます。
 でも曲げて書くという注意書きまでは、やはりありません。それに、まっすぐ下ろして書いていると言えば、そうも見えます。やや大げさに「飾り」がついているのだとそういうふうに主張されれば、そうかもと思えるくらいの、曲がり具合。
 漢字ドリルや教科書で使われる活字、いわゆる「教科書体」は、他の漢字に比べて「活字グセ」が少なく最も本来の形に近いということになっているそうなんですが、それでも決め手に欠けますね。

 だって、結局どっちにだって見えるもの。
 見た目による検証はやっぱり無理があるなあ。

 

 『漢字百科大事典』 明治書院 平成8年

 何かいいのはないかと図書館の棚をあさっていたらこれにたどり着きました。
 この事典すごく面白いんですよー。単なる漢和辞典じゃなくて、色々載ってます。またじっくり読みに行かないとなー!

 で、これに載っていました。異体字として「うにっと曲がって」いる方が。
 「うにっと曲がって」いるほうが異体なら、「まっすぐ」の方が正しいってことでいいのかな。

 

 『楷書 行書 字典』 日本書道教会

 習字のお手本に使う本です。
 コレで見ると……曲がって書いてありますよ。

 

 もう、どうなってんねん!
 まとめてみるとこうかな

 1.漢和辞典の大御所「大漢和辞典」を初めとして、広く採用されている活字は「まっすぐ」タイプ。教科書体だけが「曲がり」が強い。

 2.部首「尢」はその成り立ちからいって、「曲げて」書くのが本筋らしい

 3.でも、「尤」の方は曲げて書くのが本筋かどうか、確証はない

 4.曲がっているタイプの「異体字」を見つけた

 5.ペン習字のお手本には、「曲がり」推奨のものがある

 

 一番最初のサイトでその根拠として上がっていた『康煕辞典』はさすがに見ていません。大学の研究室に出入りしていた頃ならなあ、見られたかもしれないけど。今はどこに行けば見られるんだ。
 なので、サイトの「尤」はまっすぐが正しいという主張の検証ができていません。

 結局今のところ持っている情報だと、どっちが正しいかはわからないけど、どっちで書いても○なんじゃないの? としか言いようがないな。とりあえず、「曲がっているのは間違い」と思っていましたけど、その考えだけは捨てないといけないようですね。

 

 「尢(オウ)」と「尤(ユウ)」それぞれの字の第三画目がどのような字形になっているのかっていうことをもう少し深く検証するのと、あと習字のお手本の事例をもう少し集めてみたらわかるかしら。それと、異体字についても調べるべきかな。
 今度図書館に行ったときは、もっと真剣に漢和辞典をめくってみようと思います。

拍手

PR

COMMENT

Name
Title
Mail
URL
Message
Color
Pass   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
Secret  チェックすると管理人にのみ表示されます。

TRACKBACK

TrackbackURL:

カレンダー

12 2025/01 02
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

管理人のサイト

最新コメント

[06/30 ぴゅーぴる]
[02/21 さわら]
[08/30 ロク]
[08/27 shioko]
[02/24 東海]

最新TB

ブログ内検索

バーコード

アクセス解析

忍者アナライズ

Copyright © ここもロクの小屋 All Rights Reserved.
Photo by 戦場に猫  Template by katze
忍者ブログ [PR]