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サヴァイヴ 第21話 冬がやって来る 

 こっちとどっちにしようか迷ったのですが

 

 


 

「寝る」

 

 確かにそう言って先に部屋に入ったはずなのに、カオルの姿が部屋のどこにも見えなかったので、ハワードは狼狽した。

 まさか、カオルまでぼくを置いてみんなのところに行ってしまったのだろうか。それならそうと言ってくれればいいのに。そうすればぼくだって一緒について……。

 そこまで考えてハワードはぶんぶんと首を横に振った。

 いいやそうじゃない。別に心細くなんてないし、みんなの手伝いなんてしたいわけじゃない。ただちょっと水くさいと思っただけだ。そうならそうと言えばいいものを。

 口を尖らせて胸の中でカオルを責めたハワードは、けれど、すぐに思い直した。まだカオルがここにいないと決まったわけじゃない。
 いつもならにぎやかなはずのいえの中が、しんと静かなのにもそろそろ耐えられなくなってきたハワードは、とりあえず声に出して呼んでみることにした。

「カオル?」

「何だ」

 応じる声が思いがけず背後から聞こえてきたので、ハワードは跳び上がった。ついでに着地の際、足を滑らせて転倒し、強かににおしりを打ち付けた。

「~~~~~っ!!!」

 あまりの痛みに声が出ない。
 涙目でおしりをさすっていると、静かな声が振ってきた。

「何をやっているんだ」

 涙目のまま見上げると、カオルが仏頂面でこちらを見下ろしていた。
 カオルは普段から表情にも言葉にも乏しく、感情の読めない奴なのだが、今は何を考えているのかハワードにもはっきりわかった。

 完全に呆れられている、ということが。

 何をどうしてもとりちがえのないほど明白にその表情が語っていた。カオルにしては非常に珍しいことなのだが、ハワードはそれに対して反応するどころではなかった。

 何しろまだおしりが痛かったので。

 カオルはそれ以上何も言わず、今度こそ自分のベッドに向かうとそのまま横になってしまった。

 

 少しは心配してくれてもいいだろう薄情すぎるぞとか、こんなときばっかり正直に顔に出すなとか、だいたい寝るって言ったくせにどこに行っていたんだよとか、色々言いたかったのだが、ハワードはそのどれをも口にすることができなかった。

 

 何しろまだおしりが痛かったので。

 

 今夜の冷え込みはさらに厳しかった。

 

 

――――――

 どっちにしろハワードをいじめている…・・・。
 一周目がベルとカオルの友情ものだったので、二周目はハワードとカオルの友情ものにしようかなとも思ったのですが、使った話の方が登場人数が多いのでとりあえずあっちが採用。
 これは三周目にでも(?)

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