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水金地火木土天海王に月 

 そういや、コルダのカップリングは名字の漢字の組み合わせで表すそうです。
 月森くんと日野ちゃんなら月日とかって、一文字ずつ。
 表記が短くて済むし、わかりやすくていいですね。
 でもこれって、見る分にはいいんですが、読むのに困ります。
 月日は「つきひ」でいいんでしょうけど、どう読むのかわからないのもありまして。多分こう読むんだろうけど、読みづらいなあというのもあります。

 

 それはそれとして、組み合わせで一番好きなのは土日です。
 土日いいよね! 土日ときめく!
 ってずっと思っていたんですが、なんでこんなに土日にときめくんだろうと思ってたら、なんのことはない土日だからでした。
 わかります? 土日(どにち)は要するに週末、ウィークエンド。そう、お休みだからですよ。
 どうりで「土日」って書いてあるの見たらときめくはずだよ。

 

 ってそんな理由!?

 

 自分でもあきれますが、でもそんな理由みたいです。
 そんな理由ですが、せっかく土日にときめきを感じたんだからと、ときめき記念に土日創作書き殴り。ちなみにこの前の月日と対の話です。

 


「月森くん、私たちと初めて会ったときのこと覚えてないんだって」
「はあ?」
  一緒になった帰り道。唐突に持ち出された名前とその内容の両方に俺が顔をしかめると、日野は何がおかしいのか、やたらにやにやした上目遣いで俺を見上げてきた。
「土浦くんは覚えてる?」
「ああ」
 俺にとっては月森とというよりこいつと初めて会ったときの記憶だが、どちらにしろそう遠い記憶じゃない。
「あれだろ? 俺がお前を突き落としかけて、その後お前が抱えていた荷物をA組まで持っていったときだよな」
 思い出す努力をするまでもなく俺があっさり答えると、日野はそうそうと弾んだ調子でうなずいた。
「でも月森くんは、そういうことがあったっていうことは覚えてるけど、私がそこにいたかどうかはわからないんだって」
「まあそうだろうな」
 あの時月森と言葉を交わしたのは俺の方だし、そもそもそんなたいそうな出来事じゃない。まだコンクールの参加者も決まっていなかったあの時点で、ただ突っ立ってただけのこいつをわざわざ気に留めるような奴じゃないだろう。わからなくて当然だ。
 俺としてはむしろ、あの月森があんな些細なことを、「そういうことがあった」という程度にしろ、覚えていたのが意外だった。
 それにしても。
「なんでそんな話になったんだ?」
 わざわざ蒸し返すような話題じゃないだろうに。半分あきれながらその理由を尋ねてみたが、日野は首をかしげて眉を寄せた。
「えーと、なんだっけ?」
「おいおい」
 今度こそ本気であきれて見ていると、日野はしばらくうなっていたがそれでもようやく思い出したらしい。バイオリンと鞄を持ったまま、器用に両手を打ち鳴らした。
「土浦くんとは昔からの知り合いなのかって聞かれたんだよ」
「それで?」
「だから初めて会った日は月森くんと同じだよって」
「なるほどね」
 俺が短く相づちをうつと、日野が妙な表情になった。引き結んだ口がふるえて眉も変に下がっている。
 多分、笑い出しそうになるのをこらえているんだろう。不機嫌が表に出ないよう気をつけたつもりだったが、上手くいかなかったらしい。大方、相変わらず仲が悪いなとかそんなことを考えているに違いない。
 ただ、日野の笑いは少しばかり見当違いだ。
 俺が面白くない気分になっていることは確かだが、それは月森の話をしているからじゃない。まあ、正直なところ、それもあるにはあるが、それよりも月森の奴がそんな話を持ち出した理由に察しがついたからだ。
 同時に、それがわかるのは、俺もまた同じことを気にしているからだということにも気づいてしまったために、色々と複雑になった気分を持てあましたというのが、俺の不機嫌の真相だった。
 そうはいっても、そんなことを詳しく説明できるわけがない。仕方なく何も言わずにいたのだが、いつまでたっても日野の顔が戻らないので、俺は日野の頭を軽くこづいていいかげんにしろと言った。
「だって」
 日野は俺がたたいたところに両手をあてると恨めしげにこっちを見上げた。
「土浦くんが面白い顔してるから」
「それはお前だろ」
「土浦くんの方が面白いって」
 自分の顔を見たわけでもないくせに日野は自信たっぷりにそう言いきった。ここに鏡があるなら見せてやりたいところだったが、生憎俺はそんなものを持ち歩く習慣はない。日野の鞄には入っているのかもしれないが、今さら出せと言ったところで意味がない。俺はそうかよとつぶやいただけで視線を前に戻した。
 これで話は終わったのかと思ったのだが、日野は変わらず俺の顔をのぞき込むように見上げてくると、なんでそんなに月森くんのこと嫌いなの?と言った。
「案外、あの時のことを根にもっている、とか?」
 そんなわけあるか。
 だが否定したところでさっきのように逆にこいつを面白がらせるだけかもしれない。そう思った俺は、違うと言うかわりに逆に尋ねかえした。
「お前はどうなんだよ」
「え?」
「あの時、月森のことどう思ったんだよ」
 すると日野は目をそらした。あさっての方向を見ながら、それは、とかその、とか何とかもごもごとつぶやいた後で、言いにくそうに口にしたその内容は。
「きれいな顔してるけど近づきたくないタイプだなって」
 というものだった。
「なんだよ、お前だって印象悪いんじゃないか」
 笑いながらそう言ってやると、日野は口をとがらせた。
「だって、あの時は月森君のこと何も知らなかったんだからしょうがないじゃない」
「俺だって同じだろうが」
「土浦君は今も月森君が嫌いなんでしょ?」
「嫌いなんじゃない。そりが合わないだけだ」
 日野はわかったようなわからないようなあいまいな顔をしていたが、とりあえずそれ以上何も言ってこなかった。言ってもしょうがないと思っているんだろう。
 まったく、言ってもしょうがないと思っているのはこっちの方だ。
 俺は別に月森のことを嫌いだと思っているわけじゃない。
 だが、俺の面白くない気分はほとんど解消されていたので、俺は肩をすくめるだけにとどめておいた。
 ただ、気になることはある。
 あの時は何も知らなかったんだからしょうがない。
 日野がそう言うからには、今はそんなふうに、つまり近づきたくないタイプだとは思っていないってことなんだろう。なんで俺が月森を嫌うのか(嫌ってないんだが)わからないって顔をするのも、だからなんだろうしな。
 初めて会ったときと月森の立ち位置が日野の中で随分変わっているらしいことが、少なからず俺の胸にひっかかる。俺の方はほとんど変わってないってことを自覚しているから余計に気に障る。
「ねえ、土浦くん。明日の放課後時間ある? ちょっと合わせて欲しい曲があるんだけど」
 今度こそ話は終わったようだ。日野はさっきまでの妙な笑いとは全然違う笑顔を浮かべている。
 俺は肩にかけていた鞄を持ち直しその位置を直して、いいぜと応じた。
「また変なところでつっかかって弾けなくなってるんだろ?」
「もう! わかってるなら言わないでよ」
 ふくれっ面になった日野を見て、俺は声を上げて笑った。
 まあ、いいさ。今のところはな。
 初めてあったときはともかく、今は俺と月森に差はないんだろう。だが、これからはわからないし、このままにするつもりはない。
 俺は負けるつもりはないぜ。
 頭に浮かんだ気にくわない相手の顔に、俺は宣戦布告をたたき付けた。

 

 ――土浦くんの性格を把握してないことに、これを書いていて気づきました。そんなんで土日ときめくとか言う資格がないですね・・・。把握するためにもう一度アニメ見てきます。

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