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ここもロクの小屋

更新がない日のつぶやきとか備忘録
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金色のコルダに大ハマリ 

 金色のコルダのアニメの中で使われているクラシックの曲を収めたCDを借りました。
 惚れました。
 土浦くんの演奏を担当している岡田将さんのピアノに。
 近頃じゃなんでもかんでもアニメになってしかもクールも短いし質も悪いのが多いしどうしようもないなとかって昨今のアニメ事情を快く思っていなかったのですがこのピアノに出会わせてくれたというだけでコルダのアニメ化には価値があったと断言できるくらいには惚れました(一気)。
 CDを貸してくれたお嬢さんは今度行われるコルダのクラシックコンサートに行くそうです。
  生で岡田さんの演奏が聞けるそうです。
 いいなーいいなー。岡田さんこっちでもリサイタルとかやってくれないかなー。関西にもいいホールありますぜ。

 

 まあそんなわけでコルダのアニメも見せてもらえることになりました。
 あんなピアノを聴かされたら土浦くんに惚れてしまうわとドキドキ(?)ワクワク(?)しながら見たわけですが…………お、OPだけで酸欠状態に(笑いすぎ)。
 すごーい、みんなキラキラしてるー。目もでかーい。
 この雰囲気は見たことがあるわ。そう、ときメモGSのOPムービーで。コルダのゲームにOPムービーついてるのかどうか知らないけど、ついてるならやっぱりこういう雰囲気なんだろうなー。
 中でも一番お腹に来たのはみんなの演奏の図。みんなどこで弾いてんのー!?って大笑い。
 月森くんはまあありがちっつーか予想の範囲内ではあるんだけど、土浦くんには笑った。いきなり画面が明るくなってびっくりですよ。バックの山ってどこなんだろ。アルプス? 咲き乱れる花がさわやか過ぎて吹いた。志水くんは滝の前だなんて楽器に悪いって絶対。月森だから月光と森で土浦だから山で志水だから滝なのかしら。でもそうすると柚木先輩の時計塔はなぞだし、火原先輩は空だから関係ないよねえ。でも火原先輩の飛行船と青空は似合ってるからいいか。火原先輩だけは笑いではなく素直に素敵だなと思えましたよ。うん、かっこよかった。
 しかしOPだけでこんなお腹よじれるくらい笑って、本編見て無事にいられるのかと心配になりましたが、本編は割と穏やかに楽しめました。
 なんといってもリリが可愛かったし! リリはどれだけ目がでかくてもキラキラしててもいいもんなー。妖精なんだし。日野ちゃんも可愛かったし、ドキドキはともかくワクワクはできました。全話追いかけるのが楽しみです。
 笑いのつぼもあちらこちらにありましたけど。
 まず柚木様親衛隊が予想以上だった。漫画と違って実際に黄色い声が飛ぶとすごいですね。それに柚木当番って! 「食後にハーブティーはいかがですか?」って! いまどきこんな親衛隊、漫画の中にもいない(笑)
「俺には絶対無理」
 って火原先輩が感心していましたけど、いいんです。無理でいいんです。あなたはそのままでいてください火原先輩。
 あの親衛隊に笑顔でつきあえるなんて柚木先輩は本当にすごいわ。乙女の夢を壊さないように守ってくれているのですね。いい人だ。あんな女性の集団ににこやかに応対できる人なんて某演歌のプリンスぐらいしかいないんじゃ(笑)。
 まあだから黒柚木がいるのかもしれませんけど、柚木先輩はいわゆる腹黒キャラとはちょっと違う気がするのですよ。なんというかそれこそ腹の底からにじみ出る黒さというよりもうわべを頑張って黒くしてる感じがする。本質は結構普通に白黒マーブルの人なんだろうなと。普段白だけを出してるからたまに黒を強く出してバランスとるのかなーと。第一火原先輩の親友なんだから悪い人なわけないよねえ。
 ゲームやってないからそんな感想なのかもしれませんけどね。実際柚木ルートをたどって黒柚木イベントをいっぱいやったら、ヤツは腹の底まで真っ黒だーって言いたくなるのかも?
 あとは土浦くんとそれから月森くんとの出会いですね。
 土浦くんはあの距離と位置とタイミングで日野ちゃんを抱き留めるのは無理だと思うのですがそれよりも、やっぱりキラキラにやられました。
 そしてとんがっている月森くん。漫画でも見てたけど声がつくとよけいに面白いな。
「どいてくれないか」
 は、普通。入り口に人がいて通れなかったら言うよね。
 でも、わざわざ腕組みをして「邪魔だ」って言わなくても。その上、教室に入ってから振り返ってまで「俺には関係ない」まで言うか。いっそ無視した方が清々しいよ! コンクールに選ばれて凄いねって褒められても「何がすごいんだ」だしねえ。だから無視した方が清々しいって!
 そうやっていちいち反応するあたり、月森くんは寂しがりやさんなんだな、きっと。かまわれたくないと見せかけて実はかまいたがりのかまわれたがりだと見た。
 後日、日野ちゃんにこんな反応をしたことを後悔したりすると面白いんだけどなー。乙女ゲームなんだから、いずれ日野ちゃんにメロメロに(笑)なるんだよね。そうなったときに第一印象が悪かったことうじうじ悩んだりすると面白いんだけどなー。
 たとえばこんなふうに。


 

「土浦とは昔からの知り合いなのか?」
 そんなことを尋ねてしまった俺の心情には、多分に嫉妬が混ざっている。しかし彼女は会話の継ぎ目に浮かんだ何気ない質問と受け止めてくれたようで、屈託なく笑って首を振った。
「ううん。よくしゃべるようになったのは、このコンクールの参加が決まってからだよ」
 それなら俺と変わらない。それなのに彼といるときの方がずいぶん雰囲気が気安いように見えるのは、何故なんだろう。
「ああそうだ」
 物思いにとらわれかけた俺を引き戻したのは彼女の弾んだ声だった。何か面白いことを思いついたようだ。ぽんと両手を打ち鳴らし大きな瞳をくるりと回して、俺の顔をのぞき込んできた。
「土浦くんと初めて会った日は、月森くんと初めて会った日と、同じなんだよ?」
 思いがけない言葉に、俺は目を見開いた。
 初めて会った日?
「覚えてる?」
 俺が記憶を探ったのを見透かしたように彼女がそう尋ねてきた。
「確か、練習室で……」
 あやふやすぎる記憶に彼女と目を合わせることができず俺は視線を宙にさまよわせた。
 確か、俺が押さえていた練習室に何故か彼女がいて、練習するから出て行ってくれと俺が言ったのが最初ではなかっただろうか。
 思い出せたのは、あまりいい出会いではない。あの日彼女はコンクールの出場が決まって戸惑っていたはずだ。そうして、おそらくただ迷い込んだか様子を見にきただけの部屋で出て行けと言われたのだ。
 その時彼女はどう思ったのだろう。
 ますます俺は彼女の顔を見られなくなったのだが、彼女がくすりと笑ったので思わず視線を彼女の方に戻してしまった。
「やっぱり、覚えてないんだね」
「違うのか?」
 尋ね返した俺の声はずいぶんと情けなく響いた。それがおかしかったのかどうか、彼女はまたくすりと笑った。
「うーん。半分だけ正解。確かに初めて会ったのはその日なんだけど、その少し前に会ってるよ」
 少し前? その日の記憶をたどるが思い当たることがない。
 途方にくれた俺だったが、そんな俺の反応は彼女にとってはむしろ予想通りだったらしく、怒るでも笑うでもなく、しょうがないねと言った。
「話をしたわけじゃないし、覚えてなくてもしょうがないよね」
「いつのことなんだ?」
「私が先生に荷物運びを頼まれて、土浦くんがそれを手伝ってくれたの。それでその荷物を運んだ先というのが2年A組だったんだよ」
「荷物……」
 少しずつ記憶が形となっていったが、それと共に俺は眉間にしわがよるのを止めることができなかった。それもあまりいい出会いではないはずだ。
「そう、荷物。入り口で土浦くんと教室を覗いていたら月森くんが来て、どいてくれって言ったでしょ?」
「あの時、か」
「そう。それが最初だよ」
 確かにそんなことがあったようにも思う。教室の前に普通科の制服があって邪魔だと思ったことがあった。しかしその時話しかけてきたのは長身の男の方つまりは土浦だったし、もう一人のことなど全く気にとめなかったので、それが彼女だったのだと今言われても、その顔を思い出すことはできなかった。
「あの時月森くん、『勝手に入って勝手に置いていけばいいだろう。俺には関係ない』って、言ったんだよね」
 そのセリフを彼女は、眉を寄せて目を細め、声を低めて言った。随分と滑稽な様だったが、それはおそらくその時の俺の真似をしているつもりなのだろう。
 こちらをにらむそんな表情を作っても、彼女の顔に凄みは出ない。こぼれるのは愛嬌であって敵意ではないから見ていても不快な気分は湧いてこない。だが、それが俺だったらどうなんだろうか。そんな表情を作ってそんなセリフを言ったのが俺だったら? 彼女はそれを見てどう思ったのだろうか。
「土浦と荷物を持ってきたとき、か」
「そうだよ。それが土浦くんと会った最初の日で、月森くんと会った最初の日」
 同じ日に出会って土浦は彼女の手助けをし、俺は――。
「どう思った?」
 物思いからくる息苦しさに耐えかねて、つい尋ねてしまった。答えなど分かり切っているのに。
「いい人だなーって思ったよ? 荷物持ってもらえて助かっちゃった」
 息を呑んで待った答えはしかし、望んだものでも望まなかったものでもなかった。拍子抜けした俺の顔は随分と間の抜けたものになっていたんじゃないだろうか。
 そういえば土浦とのことを尋ねたのが、この会話の始まりだったのだ。曖昧な問いを彼女が取り違えても仕方がない。
「土浦くんと月森くんの仲が悪いのはあの時からだね。土浦くん、案外根に持ってるのかなあ」
 表情を元に戻して彼女は快活に笑った。つられて俺の表情もゆるんだ。
 取り違えられた問いをくり返す気にはなれない。少なくとも根に持つ可能性を考えるくらいには、印象がよくなかったということだ。
「あ、冗談だからね」
 慌てて手を振る彼女にわかっているとうなずくと、彼女はほっと息をついた。そんなに心配になったんだろうか。
 くるくる変わる彼女の表情を見ていると、そろそろ自分の物思いが馬鹿馬鹿しくなってきた。出会いはどうあれ、今ここで彼女は笑っているのだから、気にしても今さら変えようのない過去のことを思い悩むのはもう止めよう。
 大切なのはこれからだと俺はそう結論づけた。

 

――月森くんはこれくらい女々しい方が面白いと思うのですがいかがでしょうか。

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